本研究を計画した時点で準備中であった論文はすべて学術論文に発表し、それらを基礎として、以下のような進展が見られた。 1.時間依存性要約ROC曲線に対する公表バイアスの影響を評価する方法を、Hattori and Zhou (2016a)とHattori and Zhou (2018)の方法を組み合わせることで構成した。早期乳癌に対するバイオマーカーであるKi-67に対する予後因子研究のメタアナリシスに適用したところ、このデータでの時間依存要約ROC曲線の推定には公表バイアスの影響がほとんどないことが示された。現在は肺癌におけるFDG-PETについてのメタアナリシスの例などへの適用を進めるとともに、投稿を準備している。 2. Hattori and Zhou (2016)による時間依存性要約ROC曲線のもつ欠点を克服する方法として、時間依存性要約予測値曲線の推測法を提案し、Hattori and Zhou (2017)として公表した。また、1年など時点を固定してでしか実行できなかった時間依存性要約ROC曲線の欠点を克服するべく、複数時点での同時推測をする方法を開発し、その応用として生存時間に対するconcordance indexをメタアナリシスにより推定する方法を提案した。2019年3月に行われたDAGStat2019会議で成果を発表した。現在はシミュレーション研究を進めるとともに、投稿を準備している。 3. 開発している方法論を実際のメタアナリシスに適用する研究については、データの作成を進めている。実データの詳細な取り扱いなどを議論する必要があり、今後も継続していく。
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