平成28年度は、移動体において衛星ナビゲーションを用いて位置情報を定期的に得るシステムを対象とし、shallow sleepとdeep sleepの得失利害をあらかじめモデル化し、処理と待機の時間軸上のスケジューリングを行った。平成29年度は、強化学習を用いて、環境発電駆動センサーノードの動作を時空間上で最適にスケジューリングすることによって、収集可能な電力に応じてできるだけ高い性能を達成する方法を検討した。提案する手法は、強化学習の中でQ学習と呼ば絵るものであり、各状態と行動の組に対しQ値を割り当て、それをテーブルに保持するものである。評価では、太陽光パネルとセンサノードとバッテリーからなる構成を想定し、静的なスケジューリング、収集可能なエネルギーを予測するスケジューリング、提案手法の比較を行った。動作率(高い方が性能が高い)と浪費エネルギー(低い方が良い、バッテリーがフルなのに充電した場合のエネルギーが該当)を評価指標とした。その結果、提案手法は、他の手法より動作率が高く、浪費エネルギーが低くなることが分かった。また、環境変動への体制も強く、季節が変わり日照時間が変化する場合、場所が移動して天候がよりダイナミック変化する場合においても、環境にもっともよく追随できることが分かった。 これらの成果は、場所が固定された場合に時間軸上で動作を最適化するスケジューリングと、場所移動を伴った場合の時空間軸上での動作最適化スケジューリング手法を提案に成功したこと、すなわち、当初の目的である、データ処理とエネルギーの時空間上制御モデルにより物理的に分散されたセンシング・コンピューティング環境での飛躍的低電力化、を達成することができたことを意味する。
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