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2016 年度 実施状況報告書

無配線分子コンピューティングの進展~集積回路工学と計算機科学の観点から~

研究課題

研究課題/領域番号 16K12408
研究機関仙台高等専門学校

研究代表者

平塚 眞彦  仙台高等専門学校, 情報ネットワーク工学科, 教授 (80331966)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード計算機システム / 回路とシステム / 分子コンピューティング
研究実績の概要

無配線分子コンピューティングの可能性を総合的に検証するために,集積回路工学と計算機科学の観点から,下記の2項目の取り組みを並行して実施した.

1.集積回路工学の観点から: 分子回路の構成に関して機能的に完全な人工触媒素子の機能モデルを定式化した.また,この人工触媒素子をマイクロ電極デバイスとして実現し,これを2次元配列状に集積化した人工触媒素子チップを開発した.マイクロ電極の協調動作により,チップ上の微量溶液中に人工的に制御された2次元反応拡散場を創出することを試みた.これは,無配線集積回路の動作原理を実証する重要な成果である.

2.計算機科学の観点から: 人工的な反応拡散場を利用した新しいコンピューティング/信号処理モデルを検討した.これは究極的には人工触媒素子チップにおいて完全並列に実現することを想定するが,用途によっては本研究者らのグループが提案する「ディジタル反応拡散システム(DRDS: Digital Reaction-Diffusion System)」と呼ぶ非線形多次元フィルタの枠組みを利用して,シグナルプロセッサ上で実現することも可能である.DRDSを用いた(1)生物系テクスチャ画像の生成,(2)2次元経路探索の2点に絞って,そのアルゴリズムを検討した.これは,反応拡散場のパターン形成能力を利用する新しいアルゴリズムを,現在のコンピュータ上に実装して有効に利用する可能性を示唆する有用な成果である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究の目的:「無配線分子コンピューティングの可能性の総合的検証」の達成度

1.集積回路工学の観点から: 分子回路の構成に関して機能的に完全な人工触媒素子の機能モデルを定式化した.また,この人工触媒素子をマイクロ電極デバイスとして実現し,これを2次元配列状に集積化した人工触媒素子チップを開発した.無配線集積回路の動作原理の実証を目指し,原理実験を積み重ねている段階にある.

2.計算機科学の観点から: 人工的な反応拡散場を利用した新しいコンピューティング/信号処理モデルを検討中である.本研究者らのグループが提案する「ディジタル反応拡散システム」と呼ぶ非線形多次元フィルタの枠組みを利用して,種々の応用アルゴリズムを開発中である.アルゴリズムレベルの検討と計算機シミュレーションを実施している段階にある.

今後の研究の推進方策

集積回路工学と計算機科学からの取り組みを並行して実施する.

1.集積回路工学の観点からの取り組み: 人工触媒素子そのものを化学修飾されたマイクロ電極デバイスによって実現する方式を検討する.すでに人工触媒素子の1次元/2次元配列の基礎実験などを完了している.今後はこの結果に基づき,64個程度の人工触媒素子を2次元配列状に集積化した人工触媒素子チップを試作し,それぞれの素子を外部から制御するインターフェース部を汎用機器で簡便に実装することを試みる.

2.計算機科学の観点からの取り組み: これまでに検討した応用(1)生物系テクスチャ画像の生成,(2)2次元経路探索のアルゴリズムを数値解析用ソフトウェアMATLAB上において実装し,総合的な評価を行う.ディジタル反応拡散システム(DRDS)は多次元の非線形ディジタルフィルタとしてモデル化されるため,その動作解析には膨大な計算量が要求される.そこで,計算量の削減ならびに並列シミュレーションについて検討を加える.

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公開日: 2018-01-16  

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