研究課題/領域番号 |
16K12413
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中野 浩嗣 広島大学, 工学研究院, 教授 (30281075)
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研究分担者 |
伊藤 靖朗 広島大学, 工学研究院, 准教授 (40397964)
高藤 大介 広島大学, 工学研究院, 助教 (00314732)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヘテロ計算システム / 並列処理 / 並列アルゴリズム |
研究実績の概要 |
比較的安価に並列処理による高速計算を行うには、(1)メニーコアCPU、(2)GPU、 (3)FPGA(書き換え可能な集積回路)を用いる方法がある.それぞれが得意な処理、不得意な処理があり、さまざまなタイプの処理を行わなければならない複雑な計算では、単一種類だけを用いた並列処理では十分な性能が得られないことが多い.本研究の目的は、3つのデバイスを最適に利用することにより、単一種デバイスによる並列処理の理論限界を超える並列計算手法の提案を試みる.本年度はそのような問題の1つとして、モザイクアートの自動生成を試みた.モザイクアートでは、入力画像とターゲット画像が与えられて、入力画像のブロックを入れ替えることにより、ターゲット画像に近い画像を得るものである.全ブロック間の近似度を求めて、近似度の合計が最良となる配置を求めることにより、モザイクアートを作ることができる.全ブロック間近似度を求めるのは独立に行えるので、GPUによる計算処理が最速である.一方、近似度の合計が最良となる配置を求めるには、完全に部グラフの最適マッチングを求めることにより得られるが、処理が逐次的であり並列化が困難である.そこで、この部分は、メニーコアCPUを用いたほうが効率的である.このような実装手法により、GPUだけ、もしくはメニーコアCPUだけを用いるより、効率よくモザイクアートを作成できることを実証した.一方、FPGAについては、データの整列を行う汎用回路の実装を行った.データの整列は最も頻繁に行われる処理であり、メニーコアCPUやGPUで処理するよりFPGAで処理するほうが効率的であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヘテロ計算処理が実際に効率的である問題を提示することができた.単一のデバイスでは実現不可能な効率を達成できたという意味で、画期的である.また、重要なデータ整列処理がFPGAで行うほうが圧倒的に効率的であることを示せた.
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今後の研究の推進方策 |
3つのデバイスを統合したヘテロ計算処理理論とそのための開発環境の整備を目指したい.特にFPGAを主に用いた場合、メニーコアCPUとGPUとの協調処理が困難であり、この点のノウハウを獲得したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
新規に発売されたFPGAボードが、発売時期の関係で、2016年度中に購入できなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
新規のFPGAボードの購入と、2016年中に得られた研究成果を国際会議等で発表するための旅費・参加費に使用する.
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