研究課題/領域番号 |
16K12414
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
本位田 真一 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 教授 (70332153)
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研究分担者 |
鄭 顕志 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 准教授 (40434295)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自己適応ソフトウェア |
研究実績の概要 |
本研究では,安全性を保証する動作仕様を実行時に,機械的に,実用的な速度で導出する技術を確立することで,「開発時の想定から漏れた変化」に対する適応を可能にする自己適応ソフトウェア開発の実現を目指している.具体的には,[目的1]環境モデルの実行時更新技術の確立と,[目的2]保証を伴う動作仕様の実行時自動導出技術の確立を達成する. 平成28年度は,目的1,2それぞれの達成のため要素技術を開発した.具体的には,[実施項目1]環境モデル実行時更新技術と,[実施項目2]保証を伴う動作仕様の実行時導出技術を確立した. [実施項目1]では,機械学習を応用したLaballed Transition System(LTS)ベースの環境モデル学習手法を構築した.実行時に得られた実行トレースを基に,環境モデル内のありうる遷移の尤度を,確率的勾配効果法を用いて高精度かつ効率的に導出する手法を提案した. [実施項目2]では,階層Discrete Controller Synthesis技術を提案した.複数の制御対象を含む環境モデルを制御対象毎に分割,抽象化を行い,個々の制御対象の動作仕様自動生成時間の大幅な短縮を実現した.さらに,制御対象毎の動作仕様を環境モデルと見立て,制御対象間の相互作用仕様を自動生成することで,制御対象間の競合,衝突を避ける手法を提案した. また,確立した技術を組合せ,地走ロボットシステムに応用し,初期の簡易的な評価実験を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に達成目標としていた[実施項目1]環境モデル実行時更新技術と,[実施項目2]保証を伴う動作仕様の実行時導出技術の基礎部分は当初の予定通り達成した.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度では,[実施項目1]環境モデル実行時更新技術と,[実施項目2]保証を伴う動作仕様の実行時導出技術の洗練化を図る.前年度の評価結果を踏まえ,実行速度,精度等の観点から品質上の課題を洗い出し,各技術の洗練化を行う.また,洗練化された技術を複数の例題で評価し,開発工数と,環境変化に対する頑健性の観点からの評価を行う.具体的には,自動倉庫管理システムや自動清掃システム等のスマートシステムを例題とした評価実験を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は,平成29年度に行われる実験用の事前準備を平成28年度中から進める予定であった.そのための物品費や技術調査用の人件費等を平成28年度予算に計上していたが,これらの購入,調査は平成29年度に実施することとしたため使用計画を変更した.研究計画には大きな影響はない.
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次年度使用額の使用計画 |
実験用の物品購入,技術調査を平成29年度に実施する.
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