平成29年度は、次のような研究を実施した。 (1)実環境に近いモビリティの生成と抽象化:近年、様々な都市の交通流データや歩行流データが収集・公表されるようになってきた。また、それらのモビリティデータを市販の交通流シミュレータなどで再現することで、当該地域の様々な曜日や時間帯における道路上での車両の密度分布やその時間的変化などが再現できる。このような実際の人や車のモビリティを再現し、セル毎の密度分布やその時間変動などを計測・再現する方式を考案し、セル毎の密度分布やその時間変動などをもとにしたIoTベースシステムの設計検証手法を考案し、その一部をIEEE主催のSMARTCOMP 2017国際会議のキーノート・スピーチで発表すると共に、詳細な内容をIEEE主催の分散システムに関する難関国際会議ICDCS2018に投稿し、採択された。 (2)提案アサーションベースの設計検証手法の有用性の評価:想定するシミュレーション環境において、仮想ノードの一部をスマートフォンなどの実機のプログラムとして実行できるようなテスト環境を試作し、提案手法の有用性の評価を行った。 (3) Edge Computingの枠組みでのIoTベースシステムのモデル化:対象のIoTベースシステムを複数のモジュール(端末やエッジサーバ)が連携して動作するような分散協調システムとしてモデル化し、各モジュールの入出力データが満たすべき性質や時間制約をアサーションの形で指定できるようにし、そのための開発プラットフォームを開発し、DCOSS 2017国際会議やMobile Information Systems誌などで発表した。また、災害支援のための包括的プラットフォームの構築手法に関する成果をIEEE ICDCS2017で発表した。
|