最終年度である平成30年度は、これまでに引き続いて関連研究の動向調査を行うとともに、複数の端末に同時に異なる情報を伝送することが可能な技術として、無線通信で検討が進められている重畳符号化を光パスに適用し、光パスの重畳符号化による周波数利用効率の向上や、耐障害性能の向上に向けた周波数資源割当アルゴリズムの確立などを行った。 特に、初年度・2年目に取り組んだ重畳符号化型光パス割当制御方式の基本方式についてまとめたものを国際会議に投稿し、採択された。また、最終年度の実施項目として当初計画に挙げていた通り、耐障害性能の向上に向けたプロテクション手法への重畳符号化伝送の拡張として、単一故障に対して迅速に光パス伝送の復旧が可能な光パス重畳化を用いたプロテクション方式の検討を進めた。現用パスと予備パスで同一の光ファイバ伝送路を用いた場合、当該光ファイバに障害が発生すると、迅速な障害復旧は困難である。そこで、現用パスの伝送路とリンク背反な経路となるように予備パスの経路を計算するとともに、伝送距離が十分異なる受信ノードが異なる複数の光パスを重畳化するためのアルゴリズムの確立を行った。提案方式により、単純に予備光パスを設定する場合と比べて、周波数資源の利用効率が改善可能であることなどを明らかにした。本成果に関しては国内にて発表済みであるが、発表に含まれていない評価結果も含めてアルゴリズムを更に改良したものを国際会議・論文誌へ投稿予定である。
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