平成30年度は、(1)代表的な分散アルゴリズムにおけるビットコイン実現技術による実装可能性の調査を行うとともに、(2)ビットコインの実現技術を分散アルゴリズムの実装を前提に改変を模索した。まず、(1)はブロックチェインにより比較的ストレートに実装できる分散合意アルゴリズムだけでなく、分散相互排除アルゴリズムとリーダ選別アリゴリズムを設計していった。前者は排他的実行を行っているコンピュータの識別子を、ブロックチェインにより複数コンピュータで共有するものとなる。当初予測したとおり、分散相互排除アルゴリズムを実現することはできるが、ブロックチェインは間違った識別子を排除するのに時間がかかることから、ビンザンチン故障などを前提にした特殊状況でないとブロックチェインを利用するメリットが少ない。特に分散相互排除は何らかのミッションクリティカルな処理となり、そうした処理がブロックチェーンに見られるブロックの出戻り的な処理には不向きといえる。またリーダ選別アルゴリズムも現在選別されているリーダとなるコンピュータの識別子をブロックチェインにより複数コンピュータで共有するものとなる。これもブロックチェーンで再現できることはわかったが、実用性があるとはいえないことが証明された。ブロック当初、懸念していたブロックチェーンによる分散アルゴリズム固有の問題となる、停止しない問題であるがビンザンチン故障的な状況において、故障が繰り返される状況では避けられないことがわかった。
|