研究実績の概要 |
ディスプレイやスクリーンが存在しない空間上に表示された点描画とデジタル機器を連携させることにより, 表現力豊かな映像コンテンツを空間に映し出すとともに, インタラクションを行うことが可能なシステムを構築する. これを実現するための中心技術が, 1.発光体, 2.点描画, 3.半透明という従来画像処理/画像理解分野で研究対象とされることの少なかった被写体を対象とした新しい認識(画像マッチング)技術である. 平成28年度は、Aerial 3D Displayによって映し出される点描画コンテンツとスマートフォン, ヘッドマウントディスプレイなどを連携させるための新しい認識手法(画像マッチング手法)の研究を行った。この結果、描画点と雑音(孤立点)の正確な識別、描画点同士の正確な接続、背景に発光体が含まれる場合や鏡面反射の強いオブジェクトが含まれる場合の背景除去、などの基本的な技術については解決することができたが、上述の 1. ~ 3. によって生じる具体的な問題として、 (A)Aerial 3D Displayとビデオカメラの周波数の差(非同期性)によって生じるフレーム飛び、(B)Aerial 3D Displayによって描画される点は発光体であり物理的実体を持たないために生じてしまう焦点ぼけ、(C)スマートフォンやヘッドマウントディスプレイの揺れ(手振れ)によって生じる多重描画、などが発生することが明らかとなった。これらの問題は互いに関連しており、その解決は容易ではないが、(B)(C)についてはおおよその解決方策が見つかっているため、(A)についても引き続き解決方策を検討することにより、3つの問題すべてを解決することを目指す。
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