研究課題/領域番号 |
16K12430
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
櫻井 保志 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (30466411)
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研究分担者 |
田島 敬史 京都大学, 情報学研究科, 教授 (60283876)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オンラインアクティビティ / テンソル解析 / Webマイニング |
研究実績の概要 |
近年のIT技術の急速な発展により、Web空間ではデータ量が飛躍的に増大し、そして現在FacebookやTwitterなどの巨大なソーシャルネットワーク上では、日々大量の情報が高速に流通している。このようなWeb情報の時間発展の解析は、特定のビジネスのみならず、社会経済の活性化、環境、防災やエネルギーなど、重要な社会問題を解決するための効果的なアプローチとして期待されている。本研究では、オンラインアクティビティのダイナミクスを複合的に捉えるための高度な時系列解析技術を開発する。 本研究で扱うオンラインアクティビティデータは、Web上での特定の対象、すなわちアクティビティの時間発展を捉えるための情報であり、さらに場所などの情報を含み、(activity, time, location) のように構成される要素の一連のシーケンスとして表現される複合データである。 本年度は、オンラインアクティビティのダイナミクスを表現するため、生態学に基づいた新たなモデルを考案した。そして、新たなモデルに基づいてオンラインアクティビティの複合データを多角的に解析するための非線形テンソル解析手法を開発した。さらに、リアルタイムにWeb上のアクティビティデータを予測するためのリアルタイムデータストリーム予測技術を開発した。 研究論文に関しては、トップ国際会議であるWWW2016とKDD2016に採択されている。さらに、WWW2016とKDD2017のチュートリアル講演にも採択された。これらのチュートリアル講演は日本人としては初めての採択である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、オンラインアクティビティデータのための新たなモデルを提案するとともに、その複合データを効果的かつ効率的に要約、モデル化し、そして項目間の関係性を抽出するための技術を開発した。具体的には、複合データに対して、生態学に基づいた新たなモデルとモデル推定手法を考案し、そして、オンラインアクティビティの複合データを多角的に解析するための非線形テンソル解析手法を開発した。 また、国内外において研究発表を活発に行った。Webの分野において最難関トップ国際会議であるWWW2016において研究発表を行うとともに、データマイニングの最難関トップ国際会議であるKDD2016においても論文が採択され、研究発表を行った。さらに、WWW2016およびKDD2017両方において3時間のチュートリアル講演に採択され、国際的にインパクトの高い研究成果となった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究においては、キーワード/アクティビティの組み合わせ数が増えると計算コストは爆発的に増大する。そこで、相互作用が伴わないペアを高速に除去することにより、計算コストの低減化を図り、複合データのための非線形テンソル解析の高速化技術を確立する。また、大規模データからリアルタイムかつ継続的に情報を提供する実用システム化に取り組む。その際には、大規模Web情報からの情報発見、予測に関して、精度と計算時間の両面で評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は時系列モデルや学習アルゴリズムなど、主として理論的研究に専念した。実験設備の購入など、金額の大きな支出は平成29年度以降に予定している。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は時系列モデルや学習アルゴリズムなど、主として理論的研究に専念した。平成29年度以降に大規模データを用いた実験を予定しており、実験設備を購入する予定である。
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