研究課題/領域番号 |
16K12433
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
宮田 一乗 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (00308355)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 情報ハイディング / 多視点ディスプレイ / カラーパレット / カラーデザイン |
研究実績の概要 |
今年度は、本研究課題に関して様々な実験を行い、そのうち1件の国内学会発表、2件の国際学会発表、および1件の国際論文誌掲載を行った。 まず、カラーパレットの美的評価および追加色提案手法を提案した。本研究は交付申請書に記載してはいないものではあるが、本課題を行っていくうえで任意の色数からなる色の組み合わせの美的評価のための指標が必要になってくることが想定されたため、および本研究が汎用的でより基礎的な研究であるため最初に取り組むこととした。研究成果として任意の色数からなるカラーパレット、すなわち色の組み合わせを、人間の美的指標で評価可能なモデルを構築し、また当該モデルを利用することで所与のカラーパレットに調和する新しい色を提案する手法を開発した。本手法は本研究課題で多視点ディスプレイの表示に用いる色集合の選定および評価のみならず、より幅広いカラーデザインのコンテクスト上で応用可能な汎用的な手法である。 次に、簡略化された3次元モデルのボクセル表現に対して、多視点閲覧時の整合性を考慮した詳細情報付与手法を提案した。本研究では多視点からの閲覧を制約条件とした最適化問題を解くことで、最適なボクセルの姿勢計算を行った。本研究それ自体も交付申請書の計画に明記したものではないが、本研究で用いた最適化計算手法および置換群の性質を利用した組み合わせ列挙手法は現在進行中および平成29年度以降の秘密分散手法や多視点計算の基盤的手法となっている。 また、現在論文投稿中ではあるが、交付申請書の研究計画に記載の「The Magic Sheet」と題したVisual Cryptographyの新規的な復号・暗号化手法の開発を行った。本研究では、複数の秘密情報(画像)を復号することが可能なキーとなる特殊な画像、Magic Sheetを構築する手法を提案しており、今後はQRコードの隠蔽等への拡張を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書では、秘密分散法による情報ハイディング手法として1-1.The Magic Sheet、2-2.SSS-QR Codes、多視点ディスプレイによる情報ハイディング手法として1-2.Multi-View VCS、2-1.Multi-View QR Codes、そしてそれらを最終的に統合して3.CAPTCHA等に利用する計画を記載した。現在、1-1. The Magic Sheetに関して論文投稿中であり、これを2-2. SSS-QR Codesに拡張するための実験を行っている。すなわち、2-2に関する研究を平成29年度の前半に行い、後半以降1-2、2-1の順で研究を行う予定である。研究計画に記載のスケジュールとは多少の入れ替わりはあるが、おおむね順調に進展していると考える。なお、1-2および2-1の多視点ディスプレイに関する理論的な計算・予備実験についてはすでに着手しており、のちの本実験のための準備を進めている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、交付申請書のスケジュールを若干修正し、最初に秘密分散法に関する研究を行い、並行して多視点ディスプレイ構築に関する理論計算および予備実験を実施、その後多視点ディスプレイの本実験へと移行するスケジュールを計画している。また、最終的に本研究課題で開発した手法を統合してCAPTCHA認証へ応用する計画であるが、挑戦的萌芽研究として新しい研究の方向性を開拓すべく、既存のCAPTCHA認証という枠組みにこだわらず、他の新規的なアプリケーションの可能性を模索することで情報ハイディングの新たな方向性を提示すべく研究を推進する予定である。
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