研究課題/領域番号 |
16K12442
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
熊田 孝恒 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70221942)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 実行機能 / 注意 / パーソナリティ / 脳機能 |
研究実績の概要 |
本年度は、パーソナリティのうちBigFiveに着目し、各因子と相関の高い実行系注意課題を開発し、その有効性を示すことを目的とした。ここでは、課題と無関連な妨害刺激が提示されている状況で適切に注意を制御する機能に着目し、それらの成績とパーソナリティとの関連を調べた。最終的に40名の実験参加者に対し、実行系注意機能課題を実施するの同時に、BigFive質問紙を用いたパーソナリティの調査を行った。実行系注意課題では、反応時間と正答率から、全般的な反応速度、全体的な正確さ、妨害項目への注意の誘導度、妨害項目からの注意の解放度の4つの指標を算出した。これら指標とBigFive得点との相関は、いずれも有意傾向にとどまったため、傾向を知る目的で、各因子について得点に基づき4群に分け、その平均点を比較した。その結果、反応速度は、BigFiveの因子のうち、開放性の得点との間に有意な関係がみられ、開放性が高いほど反応時間が短かった。同様に、勤勉性が高いほど正答率が高かった。さらには、神経症傾向が高いほど妨害項目への誘目度も高く、開放性が高いほど注意の開放度が高かった。特に、本研究の結果は、注意の誘導と神経症傾向が、いずれも脳内の顕著性ネットワークと関連しているという一連の先行研究の結果や、また、注意の解放度と開放性はいずれも前頭葉の実行機能ネットワークが関連しているという一連の先行研究の結果とも一致するものであった。本年度の結果により、一部のパーソナリティの基盤に実行系のネットワークが関わっていることの証拠が得られたと言える。次年度は、参加者数を増やして本課題の有効性を示すとともに、当初の計画通り、脳機能計測を行うことで脳活動のデータによる裏付けを得る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予備実験等で有効な課題を開発するのに、当初の予定よりも時間を費やしてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を踏まえ、参加者数をふやして結果の確立を目指すとともに、速やかに成果の公表をおこなう。また、脳活動計測を早急に実施し、当初の目標の達成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験課題の完成ののち、被験者数の増加と脳機能計測を実施する予定であったが、実験課題の完成が遅れたため、差額が生じた。次年度は、本年度実施予定の実験を早急に行うことで、当初の計画に従った使用状況となる見通しである。
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