本研究は、乳児が母語の音声をどのようにとらえているかを調べ、その上で、句や文末の区切りが現れることを事前に予測しながら聞いているのではないかという仮説を検証することを目的とした。言語発達質問紙を用いて獲得語彙数を調査し、また、乳幼児が音声情報を聞きながら話者の顔の映像を見ている際の視線と脳波を計測した。生後6から22か月齢の乳幼児には、口に注目して映像を見る傾向があること、また、そのような傾向と語彙数には関係があることを明らかにした。母語の音声と、母語の特徴を減じている音声とでは、脳波の現れ方に違いがあることも見いだした。得られた結果から、音声知覚が言語獲得に果たす役割について考察した。
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