研究課題/領域番号 |
16K12452
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 康一 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (70400299)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 画像 / 超音波画像 / 腫瘍解析 / 医用画像処理 / 造影剤検出 |
研究実績の概要 |
本年度は,下記の2項目に関する研究開発を行った. 1.造影超音波画像のある画素に着目したときに,超音波造影剤が絶えず点滅する輝点として観測されることを利用することで,画素単位で超音波造影剤を検出する手法を検討した.具体的には,基準フレームと前後数フレームの輝度変化を解析し,周期的に輝度が変化する画素を検出する時空間フィルタを設計した.フィルタの応答から求められる造影剤の存在確率に基づいて,造影剤の有無を判定した.マウスを用いた定量的な精度評価実験を通して,本手法の有効性を実証した.また,当初予定に追加して,血管構造の3次元表示のための基礎検討を行った.一般的な超音波画像では平面上での血管構造しか確認できないが,超音波プローブを移動させて得られる動画像をプローブ位置に基づいてレンダリングすることで3次元化が可能である.超音波プローブにカメラを搭載し,プローブの位置を動画像から推定する手法を検討した.以上の結果について,国際会議等で発表を行った. 2.前項1で検討した手法を用いて,腫瘍の転移および進行度を解析することを検討した.造影剤の密度に基づいて時間濃度曲線を求める.腫瘍の有無,および,腫瘍の成長に伴って描かれる曲線が異なることを確認した.そこで,Area Under the Curve (AUC) を計算することで,定量的に腫瘍の進行度などを解析する手法を検討した.乳がんを対象とした臨床実験を行い,リンパ節転移における腫瘍の発見,および,定量的な解析に利用することを検討した.これらの成果をまとめた論文が海外の論文誌に掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りに,造影超音波画像からの造影剤検出手法を検討するとともに,マウスを用いた定量的な精度評価実験を通して,提案手法の有効性を評価した.また,乳がん患者を対象とした臨床実験を行い,腫瘍の早期発見や進行度の定量評価に利用できることを確認した.以上より,当初計画通りに進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
2次元画像上での超音波造影剤の検出を検討しているが,実際には,3次元的な構造を確認することが重要となる.そこで,プローブを走査するだけで3次元再構成を行う手法を検討する.超音波画像の3次元化と造影剤検出を組み合わせることで,3次元の血管像を再構成できる可能性がある.次年度は,当初計画と上記を含めた検討を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画通りに使用している.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に検討している計算機の購入に充てる予定である.
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