研究課題/領域番号 |
16K12460
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加藤 ジェーン 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (70251882)
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研究分担者 |
ワン ユ 名古屋大学, 情報科学研究科, 特任助教 (60724169)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歩行者属性の詳細認識 / 歩行者認識 / 超解像処理 / グラフィックモデル / 姿勢推定 |
研究実績の概要 |
本研究は,膨大な監視映像に含まれている人物属性の詳細認識を実現することを目標とする.これらの情報は,人物のより高次な振る舞いの理解に役立ち,次世代の監視・防犯システム,自動運転システム,ウェアラブルデバイス,ロボットなどで活用される重大な要素となる. 本年度の研究は,主に車載カメラ映像中の歩行者を研究対象とし,歩行者の4つの属性(性別2クラス:男性・女性,年齢5クラス:子ども・若年・成年・中年・老年,体格3クラス:痩せ型・健康型・肥満型,服装4クラス:薄着・運動着・カジュアル・ドレス)の詳細認識を目指した.詳細認識の精度を高めるために,我々は,(1)超解像処理(画像細部の特徴を保持するため),(2)特徴抽出時におけるパッチ分割(画像の空間的なレイアウトを保持するため),(3)姿勢ごとの識別器の構築(同種の姿勢別に識別器を学習し,ロバストな推定を行うため),及び(4)グラフィカルモデルによる後処理(複数の属性間の依存関係を利用して推定結果を補整するため)という4つの手法をそれぞれ開発し,これらすべての手法を組み合わせることによって歩行者属性の詳細認識を実現した. 既存の手法と比較するために,我々は,詳細なアノテーションが付与されている大規模歩行者データセットである,CRPデータセットを用いて検証実験を行った.評価実験の結果,すべての個別手法がベースラインの精度を上回った.さらに,これらすべての手法を組み合わせて評価した結果,我々の提案手法はstate-of-the-artの手法による精度を上回ったことが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画からある程度の路線修正を行ったものの,詳細認識の特有の問題に有効な手法(超解像処理,特徴抽出時におけるパッチ分割,姿勢ごとの識別器の構築,グラフィックモデルによる推定結果の補正)を開発することができた.また,最先端の研究成果よりも高い認識性能を収めた.すなわち,本研究の基本目標を達成したといえる.この視点から,本研究はおおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進め方としては,以下の課題を考えている.まず,(1)他の既存手法に対して提案手法を組み合わせ,性能が向上することを確認すること,また,(2)より多くの属性,クラスを含むデータセットを使用して実験を行い,提案手法の拡張性を評価すること,さらに,(3)提案手法の演算効率を向上させることで,実世界のアプリケーションへの適用を試みることなどが挙げられる.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議に出席する旅費と登録費は計画より少ないためです.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は本研究の最終年度であるため,研究発表の回数は今年度より多くなると予想するので,次年度の旅費と登録費に使う予定である.
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