研究実績の概要 |
人の瞳孔の拡縮は環境輝度のみならず,興味や記憶,認知的負荷といった人の 内部状態にも影響を受けることが知られている.アイカメラで取得した瞳孔画 像から内部状態を計測することができれば,従来の電極取り付けによる皮膚電 位計測や心拍計測に比べ,ユーザビリティが向上し,ユーザーインターフェース としてより日常的な利用が期待できる. 本年度は、瞳孔計測カメラとして、Pupil Lab社のアイカメラセットを用い、瞳孔を120Hzの速度でシーン画像と同時計測するシステムを構築した。これにより、イライラ棒タスクやドライビングタスク中の瞳孔径を計測、刺激提示システムと同期して計測、画像処理により瞳孔を測るシステムを構築した。 まず予備実験として,イライラ棒タスク遂行中の瞳孔径変化の特性を 把握するため,少数の被験者に対して複数の条件下でイライラ棒タスクにおけ る瞳孔計測を行った.その結果,経路長一定の条件下でのイライラ棒タスクに ついて,難易度は経路幅の狭さで定義され,その難易度が高くなるほど瞳孔径 の変化量が大きくなるという仮説が立てられた. その結果、タスクの難易度と瞳孔径の直流成分に関係があることが明らかになった。 また周波数成分を解析したところ、瞳孔系の高周波成分(0.1~0.8Hz)成分にゆらぎが見られ、この成分と認知機能との関連が見られることが示唆された。また、外光も同様に計測し、注視点の明るさと瞳孔径との関連についても調査を行った。
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