研究課題/領域番号 |
16K12463
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
美濃 導彦 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (70166099)
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研究分担者 |
飯山 将晃 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (70362415)
橋本 敦史 京都大学, 教育学研究科, 助教 (80641753)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コンピュータビジョン |
研究実績の概要 |
新薬開発や遺伝子操作の評価への応用を背景とし、長期間の観測に耐えるコンピュータの利点と,観測から新たな知見を発見できる人間の利点を活かす行動解析技術の開発を目指した研究開発を行った.この技術の実現のために,カメラの設置位置などの観測状況に依らないマウスの行動観測(課題1),及び姿勢記述モデルの構築(課題2),さらに,得られる姿勢の時系列データに対するボトムアップな行動分析方法の開発(課題3)に取り組んだ.このうち,初年度は,課題1については,オープンフィールドと呼ばれる従来から用いられている観測装置を透明な素材で作成し,上下から深度カメラで撮影を行う観測装置を試作し,実際に撮影を行った.また,課題2については,学会発表には至っていないが,下からの撮影データを元に,マウスの足の位置を,前後左右を区別しながら検出,追跡する技術の開発を行った.さらに,本来は今年度には予定されていなかったものの,課題3に関連して,高次元データに対して頑健に動作しつつ,外れ値の検出やクラスタ数の推定を同時に行うボトムアップなデータ解析手法を開発した.まだ基礎技術開発の段階であるが,今後,これをマウスの動作を対象としたものに発展させることを計画している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題1については早い段階で観測装置のプロトタイプを作成し,実際のマウスを観測したデータの収集を行うことができた.一方でマウスの姿勢モデル(課題2)に関しては体表面の器官の三次元位置を検出することを試みたが研究が難航してしまっている.このため,プロトタイプ作成後の観測装置の開発(課題1)に関しても,「観測と手法の適用を繰り返して最適な観測装置・観測方法を確立する」というサイクルを回すまでには至らなかった.課題2の研究が難航した原因として,特に観測装置の再設計と実際のマウスを用いた再観測実験というサイクルを回すのに必要不可欠なバイオ側の研究協力者との研究協力体制が十分に築けていなかった点などがあげられる.このため,次年度は研究協力者との連絡を密にし,観測装置の再設計と再観測のサイクルを十分に回すことに注意し,効率的な研究の遂行を心がける.(3)については,当初予定では(2)の技術が確立した後に研究を進める予定であったが,本研究において重要な「異常行動検出をボトムアップに行う」ための基礎技術として必要不可欠な外れ値検出を伴うクラスタリング技術に関して,数学的な着想を得ることが出来たため,用いたデータはマウスの体表面座標データではないものの,独自の技術を開発することができた.総合的に考えた場合,特に課題1, 2で当初計画に遅れが見られるものの,課題3においては研究計画以上の進展があったため,やや遅れているものの,研究は遂行できていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
初年度に観測装置と器官検出手法の開発サイクルを回すことができなかったことの改善点として,研究協力者との連携を密にし,観測装置の改善(課題1)を図る.特にマウスの体表面の器官の三次元位置を検出することによる姿勢推定については研究が難航しているため,これを継続する. また,姿勢推定が上手くいかない場合への対処も検討し,最終年度に向けて研究が滞ることの無いように工夫を行う.具体的には,観測装置の設置位置やフィールドの形状などの観測環境に一定の制限を加えることで,器官の三次元位置を検出することなく,マウスの行動を記述するような動作特徴を画像から抽出する.動作特徴は各時刻における姿勢の変化に相当する情報が多く含まれると考えられ,観測装置に対する制限が増えてしまうものの,十分に姿勢の時系列データの代替になり得ると考えている.動作特徴には様々な計算方法が考えられるが,特にマウスの移動速度や「壁際でのジャンプ」,「毛繕い」といった従来のマウス行動認識の検出対象が十分に記述できるような動作特徴を選定し,また,必要に応じて提案を行う. 年度の早い段階でこのような観測装置を作成し,器官検出を待たずに初年度に開発したクラスタリング技術をマウスの行動解析に適用することで課題3に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
観測装置の開発サイクルを十分に回せなかったため,当初予定していた物品費の使用予定が後ろにずれ込んだ.
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次年度使用額の使用計画 |
【今後の研究の推進方策等】に記述したとおり,バイオ系の研究協力者との連携を密にし,サイクルを回すことにより観測装置の開発を進める.
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