研究課題/領域番号 |
16K12468
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
落合 陽一 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (90762188)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | デジタルファブリケーション / シミュレーション |
研究実績の概要 |
機械学習・人工知能技術やモバイル技術の発展により、人間と計算機の「協調」によって、より困難な課題を解決しようとする手法が注目を集めつつある。デジタルファブリケーションについても工作機械と人間の協調によってより多様性のある創作の支援を行うような研究が盛んである。本研究では内部モデルや表面質感、アクチュエータ動作などを考慮したデジタルファブリケーションのための人と機械の協調手法を設計し、検証することを目的とする。そのためデジタルファブリケーションを用いた3D造型やフェムト秒レーザー加工をさらに進展させ、表面質感や内部モデルを反映させたモデルの生成及び、そのデザイン過程における人と工作機械の協調技術を開発する。それにより円滑な人と機械の協調創作のための作業インターフェースとイメージング手法双方を明らかにする。 そのため3Dプリンタを用いた3次元造型に対して内部のスキャンデータのリアルタイムフィードバックを行うための要素技術開発を行うとともに3Dファブリケーション手法について既存の3Dプリンタデバイスを改造することにより行っていく。具体的にはカメラで得られた画像から造型の状態を推定するための機械学習による判定を行うために、造型と撮影を繰り返してデータベースを構築する。この課題に関しては、申請者の研究室にて大学院生2名及び学部生と申請者本人が実装を行う。 これに加えて、プリンタデバイスのヘッドをリアルタイムにコントロールするためのシステムの開発を行い、29年度末までにテラヘルツイメージングを用いたファブリケーション装置(ハードウェア)の開発を終了させることを目標とする。それによって次年度以降に質感などの微細な構造の造型のための足がかりとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度は3Dプリンタを用いた3次元造型に対して内部の有限要素解析のシミュレーション及びそのリアルタイムフィードバックを行うための要素技術開発を行うとともに3Dファブリケーション手法について既存の3Dプリンタデバイスを改造することにより行っていく。具体的には赤外光やテラヘルツカメラで得られた画像から造型の状態を推定するための機械学習による判定を行うために、造型と撮影を繰り返してデータベースを構築する。この課題に関しては、申請者の研究室にて大学院生2名及び学部生と申請者本人が実装を行った。 これに加えて、レーザー加工機のヘッドをリアルタイムにコントロールするためのシステムの開発を行った。またフェムト秒レーザーを用いたテラヘルツイメージングについても検証中である。これについては次年度以降のための足がかりとする。 上記の内部構造を用いた3Dプリントや表面構造を変化させた加工プロセスによるインターフェースについて当該年度は5回の国際学会発表を行なった。研究は概ね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
29年度以降は要素技術の組み合わせによってこのハードウェアだけでは表現出来ないような加工、造型技術の手法研究を行う。例えば3Dプリンタの造型エラーは頻発する問題であるが、それを遠赤外域からテラヘルツ域のカメラで検知し、造型を停止して人間を呼び出し、協調作業を行うことで再造型の手間を省く事が出来る。実装については平成28年度と同様に研究協力者と共に検出・加工技術を、申請者の研究室でアルゴリズムや情報処理に関わる実装を行う。テラヘルツイメージングとモーションキャプチャーを用いた行動認識や行動予測に基づいて、どのような情報提示や作業支援が労働効率を上げるのか、また協調作業によって制作物と労働者にどのような影響があるのか定性的評価及び定量的評価を行うために実際にファブリケーションを用いた被験者実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
外国出張旅費支出について、当初の予定額に変更があった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の研究における消耗品の使用にあてる。
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