研究課題/領域番号 |
16K12474
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
広田 光一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80273332)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 触力覚 / 触認識 / 触力覚デバイス / バーチャルリアリティ / ヒューマンインタフェース |
研究実績の概要 |
(a)操作環境の構築:手指の計測と操作のシミュレーションを行うことのできるVR環境を構築した。手指の運動計測には、磁気式のセンサを用いた。爪と手の甲にセンサを装着し、これらの計測値から手のリンクモデルの関節角を推定した。手モデルと物体の接触シミュレーションにより分布力を求め、これを後述のデバイスの刺激点毎の近傍での総和として刺激点毎の提示力を計算する。 (b)触力覚提示デバイスの開発:足裏に圧覚を提示するデバイスを開発した。これまでの試作検討を踏まえて、空気シリンダを配列することで、分布的な圧力提示を実現した。デバイスは10mm間隔で三角格子に配列された128個のシリンダにより構成され、128点を刺激することができる。この格子点を上述の手モデルに投影することで、対応する領域を決定した。触力覚提示部位による認識特性の比較のために、指先への触力覚提示のデバイスの実装についても検討した。 (c)触認識特性の評価:足裏への触力覚提示に関する予備的な特性評価実験を行った。空間的な操作として、重さおよび柔らかさの認識特性について評価した。標準刺激として実物体を提示し、これと等価なVR物体のシミュレーションパラメータ(重さ、柔らかさ)を求めた。この結果、重さ柔らかさとも、実物体に近いパラメータが得られ、そのばらつきも手そのものの特性と大きく違わないことが示された。平面的な操作として、形状認識の特性を評価した。モノクロ画像の「絵」を圧力のパターンに変換して提示し、「絵」の判別を行う。同じデバイスを用いて、圧覚を足裏ではなく手に還した場合との比較に有意な差が見られず、代替提示による認識の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
評価の予備実験については、立体形状の触認識に関する検討が遅れている。これまでに、概ね準備が整っており、29年度の早期に実施する予定である。手の姿勢変化が認識に与える影響についても、この実験の中で検討する予定である。デバイスの実装については、予定を前倒しして、128点の装置が利用できる状態となっている。また、他部位との比較として、同側手指への触力覚提示も必要であると考えて、その実装に着手した。以上から、進捗はおおむね順調であると考えている。なお、対側手への提示については、足裏への提示と比較して、認識の困難が大きいと判断されたため、以降の研究では足裏への提示に焦点を当てたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
(a)操作環境の構築:本実験に向けて操作環境を整備する。センサのキャリブレーションにより、実手と手モデルの一致精度を高める。 (b)触認識特性の評価:今年度に予定されていた立体形状の触認識に関する予備実験を早期に行う。予備実験の結果を踏まえて、実験の条件、タスク、手続きを見直したうえで、本実験を行う。習熟の効果について、比較的長期間の実験の可能性も含めて検討し、特性を明らかにしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
評価実験の遅れにともない、実験環境の構築、被験者への謝金などの支出が遅れたために繰り越しが発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究全体として大きな変更はなく、遅れている実験についてはH29年度の早期に行う予定であり、したがって予算の計画にも大きな変更は生じないと考えている。
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