研究課題
一昨年度は、計算論モデルの構築とシナジー操作実験環境の構築を同時並行的に行った。また昨年度は実験を継続し、本提案の基となったBergerらの仮想手術課題を追試した。その結果、compatible/imcompatibleという違いだけでなく、もともとの力場からどれくらい変換を受けたかの変換量のほうが学習率を定めるという結果を得た。さらに昨年度は理論面において、運動学習時には運動を生成するモーメントアームも同時に学習する運動学習モデルを構築するとともに計算機シミュレーションを行い、Bergerらの仮装手術課題の実験結果を再現するためには、筋シナジーの基底や活動だけでなくモーメントアームも学習する必要があることを示唆する結果を得た。本年度は、過去の計測実験で観測された運動学習前後の筋活動の特徴が、昨年度までに構築した運動学習モデルによって再現できるかを検証した。特に、Barradasら(2018)が行った仮装手術課題に着目し、筋肉のモーメントアームが突然大きく変わる実験条件と少しずつ段階的に変わる実験条件における筋活動の変化の特徴を再現することを試みた。その結果、前者の条件では筋活動パターンの分布が非等方性に、また後者の条件では等方性に近い分布を保つという実験結果の特徴を再現できることを確かめた。また、この結果は、Golubら(2018)がサルの電気生理実験で観測した運動野の神経活動パターンの分布の変化の特徴とも一致している。以上の研究によって、本研究で構築した筋シナジー運動制御仮説に基づいた運動学習モデルで表される情報処理が、運動学習中の脳内で行われている可能性を示唆することができたと考えられる。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件、 招待講演 4件) 図書 (1件)
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