研究課題/領域番号 |
16K12478
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前田 太郎 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (00260521)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 臨場感コミュニケーション / テレプレゼンス / バーチャルリアリティ / 知能ロボティクス / ユーザインタフェース |
研究実績の概要 |
テレプレゼンスロボットの頭部に課せられた課題は「操縦者自身の頭部運動への完全な実時間追従」である.これを実現するために同ロボットにおいてはヒトと同等の高位置にある視点をヒトと同様の速度で運動させる性能が求められる.これを省床面積で実現するための選択肢としての現状での倒立振子型の普及であるが,二脚立脚によって体幹を制御することで頭部を操作するヒト挙動に対して制御可能接地点数の不足に由来する動特性の不足が生じている.このため本提案では2点以上の接地点を自在にホロノミック制御する多脚車輪走行系によるテレプレゼンスロボット機構を提案した.この機構で本研究が狙うのは「視点追従性の向上による空間性の環境認識における運動視差の再現効果の検証」である.従来,3次元的な空間認識手がかりとしては両眼視差が用いられてきたが,安定した固視点をとれない移動中の観測者にとってはむしろ頭部挙動に対応したオプティカルフローによる運動視差情報の再現性が重要である.このため,頭部挙動の追従性能として並進1G程度の加速度性能を達成目標に掲げる.この挙動要求は脚・車輪などの機構を問わず,接地摩擦力によるせん断方向トルクによって平面内移動をする機構にとってその限界値にかなり近い要求である.本年度はトロコイド走行系を用いた全方位移動における加速度制御の限界設計に取り組み,速度ゼロ状態から最大並進速度までの期間に常に上記の原理的な最大加速度でのホロノミックな全方位制御を可能にする制御シーケンスを設計・検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テレプレゼンスロボットの頭部に課せられた課題は「操縦者自身の頭部運動への完全な実時間追従」である.これを実現するために同ロボットにおいてはヒトと同等の高位置にある視点をヒトと同様の速度で運動させる性能が求められる.これを省床面積で実現するための選択肢としての現状での倒立振子型の普及であるが,二脚立脚によって体幹を制御することで頭部を操作するヒト挙動に対して制御可能接地点数の不足に由来する動特性の不足が生じている.このため本提案では2点以上の接地点を自在にホロノミック制御する多脚車輪走行系によるテレプレゼンスロボット機構を提案した.この機構で本研究が狙うのは「視点追従性の向上による空間性の環境認識における運動視差の再現効果の検証」である.従来,3次元的な空間認識手がかりとしては両眼視差が用いられてきたが,安定した固視点をとれない移動中の観測者にとってはむしろ頭部挙動に対応したオプティカルフローによる運動視差情報の再現性が重要である.このため,頭部挙動の追従性能として並進1G程度の加速度性能を達成目標に掲げる.この挙動要求は脚・車輪などの機構を問わず,接地摩擦力によるせん断方向トルクによって平面内移動をする機構にとってその限界値にかなり近い要求である.本年度はトロコイド走行系を用いた全方位移動における加速度制御の限界設計に取り組み,速度ゼロ状態から最大並進速度までの期間に常に上記の原理的な最大加速度でのホロノミックな全方位制御を可能にする制御シーケンスを設計・検討した. また,市販品として最も高い評価を得て普及しているDouble Robotics社製のテレプレゼンスロボットを導入し,その運用による実測データの取得を開始した.今後,新規試作機との比較のための改造と実験を進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
テレプレゼンスにおける臨場感の喪失原因の一つに視点移動の不一致が挙げられる.一般にヒトの臨場感を支える空間知覚には両眼視による奥行き知覚が用いられると考えられているが,これは室内条件(対象距離<4[m])での視覚手がかりに関する判断である.テレプレゼンスロボットのような走行移動を伴う場合,これを越える対象距離を必要とすることが多く,同条件下での空間知覚には運動視差が支配的となる.この場合,観察者の能動的視点移動に対するロボットの追従応答再現性が臨場感の決定要因となるため,テレプレゼンスに用いる平面走行系においては全方位への視点移動を継続的に追従可能なホロノミック性の高い並進速度制御が求められる.この観点から試作機と比較対象機を用いた視点再現実験によるテレイグジスタンス体験による空間把握の再現性精度を指標とした評価解析をすすめ,走破性と追従性を両立可能なテレプレゼンス走行系の確立を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究発表予定であった国内学会への参加を 学務との都合が付かず投稿をキャンセルしたために国内出張一回分の支出を見送った.
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次年度使用額の使用計画 |
該当する研究成果の発表を行うために,本年度は追加の学会参加と出張を予定しており,その際に支出する予定である.
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