研究課題/領域番号 |
16K12479
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
中山 功一 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50418498)
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研究分担者 |
尾崎 仁志 三重大学, 工学研究科, 助教 (90515660)
沓名 宗春 三重大学, 工学研究科, リサーチフェロー (20153299)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 3次元ディスプレイ / レーザ / 気泡投影 |
研究実績の概要 |
気泡投影型3次元ディスプレイの実現に向けて,透明液体中にレーザを照射することによる気泡生成に関する実験を行った.透明液体の種類およびレーザ照射条件の変化が気泡生成,気泡径,気泡数および発光現象に与える影響について検討し,以下の結論を得た. ①精製水2kgに炭素粉末を添加した場合,炭素粉末添加量が0.001g以下になると気泡生成率,気泡径,気泡数および持続時間の気泡の生成から消滅までの挙動がラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムのみを添加した場合と近くなる.②精製水にラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加した場合,気泡生成に必要な最小のエネルギはラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの添加量が増加するにつれて減少する.一方,その添加量の気泡数,気泡径および気泡持続時間への影響は小さい.③高機能性液体の場合,気泡生成に必要な最小のエネルギにおいて,気泡生成率が100%となる.照射エネルギを増加させると気泡径は大きくなるが,気泡数は常に1個であり,気泡持続時間はすべて20ms以上であった.④シリコーンオイルの場合は,気泡の生成が確認されなかった.⑤精製水にラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムと炭素粉末を添加した液体,精製水にラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムのみを添加した液体,および高機能性液体の場合,気泡生成の際にほぼ必ず発光を伴う. これらの結果から,気泡投影型3次元ディスプレイにとって適切な透明液体の候補を,さらに絞り込むことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度の実験から,気泡生成に必要なエネルギの観点から判断すると,3次元ディスプレイに適している液体は,炭素粉末0.01gとラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2gを添加した精製水であり,気泡数の観点から判断すると高機能性液体であることが明らかとなった.また,ガルバノミラーを高速に制御するための制御機構を作成した.さらに,水中映像を空中映像として提示する光学素子の性能を確認した.これらにより,水中に作成した任意の形状のスクリーンに可視光を投影し,空中3次元映像として提示するための基礎技術を明らかにできたといえる.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,より低エネルギで気泡が生成されるという意味で効率の良い水溶液を調査研究する.水に混合する物質の候補として,沸点を下げる物質(エタノールなど),比熱を下げる物質(シリコーンオイルなど),表面張力(蒸発熱)を下げる物質(界面活性剤など),吸収係数を向上させる物質(炭素粉末など)を検討している. 現在のガルバノミラーに接続している制御器では,毎秒30回程度の位置決めしかできていない.2017年度は,毎秒100回程度の位置決めが可能な制御器により,毎秒100画素以上の3次元画像を実現する.
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の実験装置の試作に時間を要したため,2016年度内に予定していた研究打ち合わせ及び物品購入を2017年度に購入することにした.
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度に予定していた研究打ち合わせと物品購入に用いる.
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