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2017 年度 実施状況報告書

気泡の生成・制御技術の研究開発と3次元ディスプレイへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 16K12479
研究機関佐賀大学

研究代表者

中山 功一  佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50418498)

研究分担者 尾崎 仁志  三重大学, 工学研究科, 助教 (90515660)
沓名 宗春  三重大学, 工学研究科, リサーチフェロー (20153299)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード3次元ディスプレイ / レーザ / 気泡投影 / バーチャルリアリティ
研究実績の概要

本研究では,気泡投影型3次元ディスプレイの実現を目指している.この3次元ディスプレイは,以下の手順で3次元動画を表示する.1)密閉容器中の透明液体を沸騰寸前まで減圧する.2)液体中にレーザを照射して加熱し,任意の形状の気泡群を生成する.3)発生した気泡に可視光を投影すると,気泡部分で可視光が拡散反射し,立体映像が映る.4)減圧していた液体を加圧し,全気泡を一瞬で消去する.5)1)に戻る.
この方式では,メガネをかける必要がないため裸眼のまま多人数での同時観察が可能であり,さらに横や後ろからも観察することが可能である.
この実現に向けて,透明液体中にレーザを照射することによる気泡生成に関する実験を行った.透明液体として,精製水/高機能性液体(3M社製Novec7100)/ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.05%添加した精製水(ラウリル水溶液)/エタノールおよびそれらの混合液について調査した.その結果,以下の結論を得た.
①減圧時のラウリル水溶液は常圧時と同様に安定してレーザ光軸上に気泡が生成されたが,減圧時の高機能性液体は常圧時と異なりレーザ光軸上に気泡は生成されなかった.②ラウリル水溶液は減圧を行うと気泡生成に必要なエネルギは小さくなり,静水圧0.04MPaのとき最小の臨界エネルギを得られた.これは本研究で得られた最も小さい臨界エネルギであった.③高機能性液体は常圧のとき最小の臨界エネルギを得られた.また一方減圧を行うと臨界エネルギは得られなかった.④ラウリル水溶液は静水圧が低いほど気泡数が多く,気泡径は大きくなった.⑤ラウリル水溶液は減圧を行うと発光を伴わず生成する気泡数が増加した.
以上の結果より静水圧0.04MPaのラウリル水溶液において最小の臨界エネルギを得られ,常圧時より発光を伴わず生成する気泡数が増加するため,3次元ディスプレイに適した条件だと考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2017年度の実験から,様々な液体における気泡生成の条件を検証できた.また,気泡生成に伴う発光現象の分析など,3次元ディスプレイに影響のある現象についての知見が得られた.さらに,ガルバノミラーを高速に制御するための制御機構と,3kWファイバーレーザを用いて水中に気泡スクリーンを作成できた.これらにより,水中に作成した任意の形状のスクリーンに可視光を投影し,空中3次元映像として提示するための基礎技術をさらに蓄積できたといえる.
ただし,年度途中でレーザ発振器が故障したため,予定していた一部の実験が実施できなかった.このため,不足している実験に関しては,2018年度に実施することを目指している.

今後の研究の推進方策

2017年度に発生したレーザ発振器の故障に伴い,2017年度に実施できなかった一部の実験を継続して行い,気泡投影3次元ディスプレイにとって適切なレーザの条件,透明液体の条件,混合物の条件を調査研究する.特にレーザについては,新しいレーザ発振器の購入も含めて検討し,パルス幅,レーザ波長,集光ミラーなどを検討していく予定である.

次年度使用額が生じた理由

レーザ発振器の故障に伴い,修理可能性の調査,および新たなレーザ発振器を手に入れる必要が発生したため,研究計画に,遅延・変更が生じた.レーザ発振器の仕様策定/発注/納品には6~8か月を要するため,補助事業期間を延長し,次年度に使用する必要があった.

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公開日: 2018-12-17  

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