研究課題/領域番号 |
16K12487
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松原 崇 神戸大学, システム情報学研究科, 助教 (70756197)
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研究分担者 |
上原 邦昭 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (60160206)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 人工ニューラルネットワーク / 生体神経細胞 / ゆらぎ / 生成モデル |
研究実績の概要 |
本研究課題は,いわゆる人工ニューラルネットワークと比較した場合に,生体神経系が持つ特徴である確率的な振る舞いとスパイク時刻信号について,それらを応用した機械学習アルゴリズムと実装法を研究開発することにある. 研究計画調書で二年目以降の課題として挙げていた「高集積度・低消費電力な機械学習チップの開発」について,一年目に得られた結果をもとに実際に電子回路実装に取り組んだ.いくつかの検証により,実用的な解像度においてルックアップテーブルの7分の1,高い削減効率であるといわれてきた線形近似の3分の1の回路素子数(=回路面積)しか要求しないことが確認できた.これは計画書にあった「7倍程度の高集積化」を予定通り体現できたことを意味する.また確率的挙動と非同期性によって,従来の近似法や実装法に比べて,高いモデル化性能が得られることも確認でき,確率的ふるまいの有効性を実証することができた. また「スパイクと確率的なふるまいを考慮したスパイク相関に基づく生体神経系モデル専用の機械学習」については,特に従来の研究において見過ごされがちであった時間的符号化の学習に着目した. そのアルゴリズムを,確率モデルの側面から導出することに成功し,定性的に少ないユニット数で高度な計算が行えることを実験的に示した. そのほか,人工ニューラルネットワークによる生成モデルについて,複数の応用例を検討し,それぞれについて発表を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画調書に記載した具体的な研究テーマである「生体神経系のスパイクと確率的なふるまいを利用した生成的機械学習システムを開発」「生体神経系モデル専用の機械学習アルゴリズムの開発」「高集積度・低消費電力な機械学習チップを開発」の3テーマについて,当初3年の結果に対して2年目終了時点でほぼ実施することができた.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書に掲げたテーマはほぼ実施することができたが,検証がほとんどベンチマークタスクであり,大規模化や実問題への応用については未知数な部分が多いため,3年目はこの部分を重点的に行うこととする.
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度中に採択された論文の掲載料の支払いが2018年度になったため,繰り越すことになった.
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