研究課題
本研究課題は,いわゆる人工ニューラルネットワークと比較した場合に,生体神経系が持つ特徴である確率的な振る舞い(ゆらぎや不確実性)とスパイク時刻信号について,それらを応用した機械学習アルゴリズムと実装法を研究開発することにある.数理モデルの観点からはゆらぎと恒常性の関係を明らかにするモデルの導出を達成した.学習アルゴリズムの観点からは,離散的信号を確率分布からのサンプルとみなすことで生理学的に妥当な学習アルゴリズムの開発を達成した.そして回路実装の観点からは,実用的な解像度において高い削減効率であるといわれてきた線形近似の3分の1の回路素子数(=回路面積)しか要求しない実装方法の開発に成功した.最終年度はこれらのシステムの応用に焦点を当て,深層学習システムへのゆらぎや不確実性の応用を行った.ゆらぎの応用においては,ハイパーネットという機構を用いることで,従来困難であった深層学習におけるパラメータのベイズ事後分布推定を実現できた.またニューラルネットワークによって不確実を予想する機構を盛り込むことによって,データ自体が持つ不確実に対して堅牢な異常検知が実現できた.さらには生成モデルの特性を用いることで,小規模データである脳機能画像の高性能な解析と,解釈性のある結果の提示を実現することが出来た.これによって,いわゆるブラックボックスと呼ばれるニューラルネットワークにおいて,質的に新しい解析法の基礎を確立できたと考える.これらの結果は,それぞれ査読付き英文誌および国際会議論文にまとめ出版した.
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)
IEEE Transactions on Biomedical Engineering
巻: - ページ: -
10.1109/TBME.2019.2895663
Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE
巻: 10 ページ: 45-59
10.1587/nolta.10.45