研究実績の概要 |
本研究は,言語関連疾患の患者の語り(5分から10分程度の自由音声発話)をデータベース化し,ここから自然言語処理技術による患者の診断,将来的な リスクの予測を実現する.さらに医療機器としての社会実装に挑む.本研究で扱う言語関連疾患としては語彙量との関連が深いアルツハイマー型認知症を主な対象として扱い,加えて発達障害,うつ病,統合失調症など,従来から対話から診断のための重要な手がかりとなっている疾患へと対象を拡大する.最終年度である本年度は,意味密度の日本語化手法,複数の指標の統合について論文化を行った.また,研究開始時当初に想定していなかった表現の抽象度の測定といった新たな試みについても研究を行った. ここでいう抽象度は,単語単位の抽象度をベースに計算するものであり,単語単位の日本語単語抽象度辞書(AWD-J: Abstractness of Word Database for Japanese common words)も構築,公開した(http://sociocom.jp/~data/2019-AWD-J/) これは,ソーシャルメディアで頻出する上位 20,000語の中から名詞,動詞,形容詞である17,778語を対象とし,クラウドソーシングにて抽象度を付与したものである.さらに,この抽象度辞書を用いて,思春期の発達過程についての解析を実施するなど,今後の研究の発展性を示した.
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