研究課題/領域番号 |
16K12490
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小野 智司 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (90363605)
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研究分担者 |
細田 滋毅 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, グループリーダー代理 (60399582)
川崎 洋 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (80361393)
福井 健一 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (80418772)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 系列データ / 変化点検知 / 教師有り学習 / 訓練データ生成 / 2次元コード復号 / 幾何歪み / シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では,構造化されたデータを含む問題における表現学習方式,すなわち,素性(特徴)の自動設計方式を開発する. 本研究では,素性の設計が困難な実問題として,海洋観測データにおける品質管理ラベルの割り当て問題,および,歪んだ2次元コードの復号問題に着目する. これらの問題は系列ラベリング問題として表現できるものの,特異なパターンの検出が困難であることが共通する.それぞれにおいて素性の自動構築方式を開発した後,構造データを対象とした表現学習方式として一般化を図る. なお,上記2問題における応用は,表現学習の有効性を検証するためだけでなく,それぞれ実用レベルの技術を確立する. 本年度は,1次元時系列データを対象として,昨年度考案した教師情報付訓練データを合成する方法の実装および検証を行い,本方式により知覚が困難な微小な変化を検知が可能となることを確認した. 本方式は正常データのみの組合せら変化点検知に必要な訓練データを合成するものであり,極めて単純な方法であることから,多様な分野のデータへの応用が期待できる. また,歪んだ2次元コードの復号問題においては,表現学習に必要な訓練データを合成することを目的として,3次元変形とレンダリングを行うシミュレーション環境を開発し,また,実撮影に極めて近い画像データを生成できることを確認した.また,モジュールの同定を組合せ最適化により行う基本的な枠組みの実装を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,海洋観測データの品質管理,および,歪んだ2次元コードの復号の2つの実問題における実用的な表現学習方式をそれぞれ実現した後に,より一般的な構造データに対する表現学習方式として一般化を試みるものである. 本年度は,昨年度に提案した1次元の系列データに対する変化点検知手法の有効性を,気象観測地点移動推定問題に適用することでその有効性を検証した.用途が変化点検知に限定されるものの,一般的な時系列データに広く応用できるものであることから,大きな波及効果を生み出す基礎となることが期待される. また,2次元コードを対象とした表現学習方式の検討を行うために,前述のシミュレーション環境を用意することができ,次年度に手法の具体的な検討と評価実験を行うための学習データを生成する環境を整えることができた. 以上のような状況であるため,概ね順調に成果をあげていると考える.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本研究の最終目標である素性の自動設計方式の実現,および,2種類の実問題における実用レベルの技術の確立を実現するために,以下について取り組む.海洋観測データの品質管理においては,考案した表現学習方式を実際の観測データに適用し,有効性を検証する.また,歪んだ2次元コードの復号においては,今年度構築した訓練データ生成基盤を用いて表現学習方式の開発および検証を行う.
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