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2017 年度 実施状況報告書

ティック・データによる市場価格の短中期予測

研究課題

研究課題/領域番号 16K12492
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

櫻井 彰人  慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00303339)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードリターン・リバーサル / 外国為替証拠金取引
研究実績の概要

まず通常のファイル圧縮アルゴリズムを用い、対象データとして、価格、価格差、対数価格差、価格差の符号とした。その結果、昨年度発見したreturn reversalがdominantであるためそれ以外の圧縮性を示す要素の発見は困難であった。このreturn reversalの影響を取り除くために、まず、その性質を詳しく調べることとした。対象データは外国為替証拠金取引(FX)の15年間にわたるtick dataとした。昨年度においては、USD/JPY, EUR/USD, GBP/USD のいずれにおいても、観測したすべての年(2002年から2015年)に対しSVMによって発見可能であることが分かった。そこで、今年度はそのパターンをより詳細に調べることと、より単純なパターンが存在するか否かを調べた。第一に時間間隔(time frame、単位時間)については、1分~10分を1分毎、10分~70分を10分ごとに調べた。また、過去1単位時間~7単位時間のデータを用いた。過去データの単位時間数については、全体的傾向として、長くなる方が、return reversalの性質は弱くなる(線形回帰式での係数に負の値が混入することが多くなる)、時間間隔については目立った差異はない(例えば、1単位時間前に対するreversalは非常に強く観測される)ことが分かった。より単純なパターンの発見ができた。単純に1~3単位時間前のreversal(上昇し続ければ次は下降する)が観測できた。このパターンによる予測は統計的に有意ではあるが、大きなものではない。ところで、金融データの予測時、機械学習モデルによる予測の予測精度と学習期間には一般にtrade offがある。それは観測されたが、一方、方向予測に限定してではあるが、1年間のデータで学習したモデルが翌1年間有効であることが観測された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

定性的・総体的には、未知の現象を発見することができたこと、それが長期データについて、また1分~70分までのtime frameでも観測できたことは、計画以上といえるが、その発見の検証等に時間を取られた。また、当初予定したデータの購入ができなかったため、確認することができなかった性質がある。
外国為替取引のtick dataについては、その価格が非常に高騰した一方予算が予定通りは確保できなかったため、購入を諦め、別のデータを用いることにより分析を行い、上記の結果を得ている。

今後の研究の推進方策

当初の計画を踏襲しつつ、発見したreturn reversal現象の要因解明・モデル構築を合わせて進めていきたい。
外国為替取引のtick dataについては、当初計画にある解析を行うためには、当初計画にあるようにデータを購入する必要がある。しかし、その価格が高騰した一方予算が予定通りは確保できなかったため、購入することができなかった。年度を越えて予算を用いて購入する予定であるが、必要とする量は確保できないことは明らかであり、そのデータを用いて所期の結果が得られるか否かはデータの性質次第ということになる。しかし、その範囲で全力を尽くすこととする。

次年度使用額が生じた理由

当初計画に記した、外国為替証拠品取引にかかわる tick data の価格が高騰し、一方、交付された金額が当初予定額を下回ったため、当該データを購入することができなかった。そこで、次年度使用とし次年度交付額と合わせて、当該データの一部を購入することとした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Analyzing predictive performance of linear models on high frequency currency exchange rates2018

    • 著者名/発表者名
      Chanakya Serjam and Akito Sakurai
    • 雑誌名

      Vietnam Journal of Computer Science

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2018-12-17  

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