研究実績の概要 |
最終年度であるH30年度は,昨年度から前倒しで行っている人間的視覚処理であるHMAXモデルのハードウェア実装を完了させ,従来方式との性能比較を行うことで提案方式の有用性を示した.具体的には,HMAXモデルの第1層目である特徴抽出処理を,提案のストカスティック演算に基づくガボールフィルタで実現し,従来のバイナリ演算との性能比較を行った.性能比較としては,HMAXの物体認識精度とともにハードウェアの性能(速度・電力)比較を行った.その結果,従来バイナリ実現と比較して,同等認識精度かつ同等速度を保ちつつ,最大97%の電力削減に成功した.このような大幅な電力削減は,ストカスティック演算によるガボールフィルタの係数をフィルタ演算時にのみリアルタイムに生成することで,メモリ不要の構造を実現した結果である. この研究成果は,分野最高峰の論文誌であるIEEEのJETCAS誌に採録となった.また,これまで行ってきたストカスティック演算を活用した脳型ハードウェア実装の成果により,招待論文1編(NOLTA, IEICE)を執筆, Book Chapterを1編(Springer)を執筆,および招待講演3件(ETCMOS2018, 2018年度電子情報ソサイエティ大会,The 2019 Riken International Workshop on Neuromorphic Computing)を行う機会を得られた.
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