研究課題/領域番号 |
16K12495
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
久保田 直行 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (30298799)
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研究分担者 |
武田 隆宏 第一工業大学, 工学部, 助教 (70748186)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ノンバーバルコミュニケーション / ジェスチャ / 協調的理解 / ロボットパートナー |
研究実績の概要 |
本研究では、人間とロボットの自然なコミュニケーションを実現するために、指さし行為に含まれる指示的意図と社会的意図の理解、物まね行為に含まれるアイコン的ジェスチャを理解するためのメカニズムをシステム論的な観点から解明し、人間とロボットの間で行われるジェスチャの協調的理解に必要な方法論を確立・体系化することを目的としている。 今年度は、大きく分けて、全体構成に関する検討、ジェスチャ中心コミュニケーションシステムに関する計算論的研究、ジェスチャの協調的理解に関するシステム論的研究を実施した。まず、はじめに、ジェスチャを中心としたコミュニケーションの様々な形態について分類し、各形態におけるジェスチャの使用方法について考察した。次に、ジェスチャの協調的理解を行うための連想記憶を実現するために、行為的表象・映像的表象・象徴的表象を対象としたモジュール構造型スパイキングニューラルネットワークの構成方法について検討した。 ジェスチャ中心コミュニケーションシステムに関する計算論的研究では、様々なジェスチャを用いた具体的な実験を通して、ジェスチャを中心とするコミュニケーションのモデル化を行った。次に、距離画像センサを用いて計測される3次元点群データから、複数の人間を高速に検出し、トラッキングを行う手法を提案するとともに、人間とロボットが共有する空間内の対象物を抽出、特定する手法を提案した。ジェスチャの協調的理解に関するシステム論的研究では、人間の注意方向を検出する手法を提案し、顔の向きと注視方向の時間的変化を計測する方法を提案した。様々な環境条件において、これらの手法を用いた実験を行い、提案手法に関する有効性を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、研究計画の予定通りに進めるために、まず、人間とロボットの自然なコミュニケーションを実現するために、トマセロ、グライス、スペルベル、ウィルソン,ブルーナーなどが議論してきたコミュニケーションやジェスチャ、表象に関する議論を多角的な観点から考察し、ロボットパートナーが人間とのジェスチャを協調的に理解するために必要となる要素技術について検討を行った。次に、ジェスチャ中心コミュニケーションシステムに関する計算論的研究とジェスチャの協調的理解に関するシステム論的研究を実施するために、それぞれに必要となる計測システムを検討し、実装した。得られた研究成果を、国内外の学会にて発表するための準備を行った。個々の要素技術を全体システムとして統合化はすることは、まだ行えていないが、以上のように、全体的に概ね当初の予定通りに進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、ジェスチャ中心コミュニケーションシステムに関する計算論的研究について、共通概念基盤としての情報構造化空間の構築方法について検討を行う。さらに、ジェスチャの協調的理解に関するシステム論的研究について、「物まね」行為の学習方法を提案するとともに、「物まね」行為の協調的理解を行うための方法論を検討する。また、研究室の学生だけでなく、高齢者などを対象とした実験を行うことにより、提案手法の有効性について,様々な観点から検討していく予定である。さらに、得られた研究成果をまとめた内容を国内外の学会で口頭発表する。その結果に基づき、最終年度となる平成30年度の研究計画を再検討し、本研究のまとめ方について整理する。
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