研究実績の概要 |
従来の知能ロボット分野の物体把持研究では,対象・環境の三次元形状から把持位置・姿勢・動作を計画実行す る認識行動型のアプローチが一般的であるが,これではぬいぐるみやビニールに入った物品など多様な物体が棚 の中に時には重なり置かれている実環境での一般物体把持には対応できない.そこで,本研究では手探り動作から物体を取り 出し,その成否を判別する検証型のアプローチを採用し,その技術基盤であるどのような物体でも持ち上げられる 強制吸引グリッパと,触力覚融合による手探り誘導動作を解明し,物体判別の認識処理と影向して検証型の一般物 体把持システムを構築し,その構成法を学術的に対応づける事で,次世代の産業ロボット応用に繋げることを目的とする. 平成28年度は強制吸引パッドについて性能の評価を国際的な産業用ロボットによる物品取り出し評価会を通じて検証した.また,強制吸引グリッパへの触力覚の組み込みとして曲げセンサ,近距離センサの組み込み試作と評価を行った.さらに新規に強制吸引と挟み込み多指からなる統合型の吸引ハンドを開発し,これを用いた多種類の物品吸引把持戦略を環境の認識情報に応じて選択する行動生成アルゴリズムの開発した.また,双椀型のロボットにおいて検証型の一般物品把持の経験履歴から対象の物品に応じて利用する腕の本数を選択する手法についても学習アルゴリズムとシステム構築を行った.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,触力覚統合による手探り誘導制御,能動触力覚センシングによる環境物体判別処理,検証型のマルチモーダル物体認識処理を実施し,検証型物体把持動作システムの評価を通じて有効性を評価する.実験は国際学会でのピッキング課題である倉庫棚の物品把持を対象とし,他の手法との定量的な比較を行い,本アプローチの有効性を評価するとともに,これまでに共同研究を進めてきている国内の産業ロボットメーカとも協力し,実産業分野での応用可能性をも検討する.
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