研究実績の概要 |
従来の知能ロボット分野の物体把持研究では,対象・環境の三次元形状から把持位置・姿勢・動作を計画実行する認識行動型のアプローチが一般的であるが,これではぬいぐるみやビニールに入った物品など多様な物体が棚の中に時には重なり置かれている実環境での一般物体把持には対応できない.そこで,手探り動作から物体を取り出し,その成否を判別する検証型のアプローチを採用し,その技術基盤であるどのような物体でも持ち上げられる強制吸引グリッパと,触力覚融合による手探り誘導動作を解明し,物体判別の認識処理と影向して検証型の一般物体把持システムを構築し,その構成法を学術的に対応づける事で,次世代の産業ロボット応用に繋げることを目的とする. 平成29年度は昨年度の曲げセンサ,近距離センサに加えて,近接触覚センサを組み込み,手探り型の把持動作誘導制御の研究を実施した.具体的には近距離触覚センサを介して得られる手探り反応に応じたプリミティブ反射動作として,接触の検出と動作の停止,面の検出と指面の平行化,物体の検出と把持を設計し,これにより袋の中にある物体を取り出す手探り動作を実現できることを示した.また,当初の予定になかった強制吸引と挟み込み多指からなる統合型の吸引ハンドの開発に負いても,近接触覚センサを組み込み,手探り型の行動生成として,ロボットの視点からは見えない物体の裏側に入れた手先の認識行動生成法が可能なことを示した. 最後に,これまで開発してきた各モジュールを統合し検証アプローチの構成法を体系づけるとともに,実証実験を通じて有効性を評価する.実験は国際学会でのピッキング課題である倉庫棚の物品把持を対象とし,本アプローチの有効性を評価した.
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