授乳支援を行うロボットが社会的に受容されるための振る舞いを実現するため,対話型ロボットとロボットアームが連携して会話調で第三者へと現状を説明しながら飲み物を口元へと運ぶシステムを開発し,被験者実験による印象評価を行った.実験の結果,対話型ロボットが適宜現状を説明することで,ロボットアーム単体でタスクを行う場合よりも好ましいと思う度合いが有意に向上することが示された.そこで,対話を行う能力を備えていると予測しやすい人型の外見を備えたロボットによる授乳シーンと,対話を行う能力を備えていないように予測しやすいロボットアームによる授乳シーンを用いたWEBアンケートを行い,ロボットの外見が授乳支援にもたらす社会的受容性への影響を検証する実験も行った.その結果,人型の外見を備えたロボットによる授乳シーンが,ロボットアームによる授乳シーンよりも有意に社会的受容性が高いことが示された. 発展的な研究として,授乳以外のタスクを対象に乳幼児の保育支援を行うロボットシステムの開発や,そのようなロボットシステムと連動して周囲の状況を認識する環境センシング技術の高精度キャリブレーションシステム,およびそれらのシステムを用いて子どもの性格を推定する技術の研究開発にも取り組んだ.これらの成果は,信号処理に関する国際会議APSIPA2018や,人と関わるシステムに関する国際会議SMC2018に採択されるなど,国際的に高い評価を得ることができた.
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