研究課題/領域番号 |
16K12509
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
水内 郁夫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60359651)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 主観評価 / ロボットの振る舞い / 新規絵画生成 / 動作生成 / ジェスチャ生成 / 疑似言語発話生成 / スキル転送 |
研究実績の概要 |
本研究は以下の(1)~(3)の3項目から構成している。様々な対象(場)において、(1)~(3)の各項目を研究することで、新規なアイディアに着想することを狙う。 (1)人間の主観的評価データの収集:対象とする各場において、人間の主観的な印象や直感的に感じたことを、アンケートや表情推定等により収集する。 (2)機械学習を用いた主観的評価の推定手法の研究:(1)で収集したデータを訓練データとして機械学習(ニューラルネットワーク等)を行う。絵画の情報・ロボット動作の情報・その他の状況等を入力とし、人の主観評価を出力とする。これにより、少なくとも訓練データと同様の入力に対しては同様の評価が行えるようにするとともに、訓練データと異なる入力に対しても、人による主観評価と同じような評価を出力できるようにすることを期待する。 (3)主観評価推定器の利用法の研究:対象とする様々な場において、(2)の主観評価推定器を活用することを試みる。 本年度は、これら3項目すべてに関し、研究を実施し、成果発表を行ってきている。査読付き国際会議論文2件、招待講演1件、国内学会発表論文7件。対象とした主観は、絵の美しさ・情熱的度合い・格好良さなど、ロボット動作の上手さ・美しさ、ロボットジェスチャと発話内容の相性の良さ、状況に応じたロボット行動選択の印象の良さ、などである。それぞれ、(1)被験者実験を行いアンケート等により主観データを収集し、(2)収集した主観データを教師として、深層学習などを用いて評価器を学習・検証し、(3)新規絵画生成・疑似言語生成・ロボット行動選択・ロボットジェスチャ選択・スキル転送(未発表)等への活用を試行した。(2)の結果は教師再現性やLOO法において優秀な性能を示した。(3)に関しては、ロボットの振る舞いが所望の主観評価を得られる場合もあるが、確実性は高くなく、更なる研究が必要な状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)~(3)の3項目に関し、幅広く様々な場を対象に主観評価のデータを収集し、それを教師データとして学習し、学習結果を活用して何かしらを生成する方法を試行している。 それぞれの対象に関し、おおむね期待を下回らない結果を得ることができている。 確実性の高さに関しても対策は色々と見えてきている。 新規なアイディアの着想として、ロボットからロボットへのスキル転送や、人間からロボットへのスキル転送への活用法を着想し、色々と試行錯誤を始めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、対象とする場を更に広げて試行を行う。 また、確実性の高さを上げるための方策を試行錯誤する。具体的には、データの種類を増やす、学習のフレームワークの改善を試行錯誤する、主観評価に影響を及ぼすと思われる人間の気分などの内部状態の推定方法の研究を行う、などである。 また、本年度の研究を通して、スキル転送への活用という新奇なアイディアを着想してきているので、その研究を深めて、学会発表等ができる形まで持って行く。 最終年度であるため、本研究課題の総括を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に基づき研究を進める中で、ロボットの消耗品調達や学会旅費において、予算の効率的な使用を行ったため、残金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
学会発表旅費、ロボット制作部品、論文投稿費等に使用する計画である。
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