研究課題/領域番号 |
16K12515
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
大島 直樹 拓殖大学, 工学部, 准教授 (50375466)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | レビー小体型認知症 / 幻視 / 可視化 |
研究実績の概要 |
本年度は3つの課題を実施した。 1つ目は幻視知覚時におけるレビー小体型認知症患者とその介護者とのコミュニケーション時におけるストレス計測環境を準備した。ストレス計測器として携帯型脳活動計測装置を2台導入し、予備調査として、健常者の被験者に患者役と介護者役にわかれさせて、患者役には現実にはないものをあたかも見えているような内容を含めさせながら会話をさせ、両者のストレス変化を計測した。患者役が発する現実ではない内容を聞くことで、介護者役は次第にストレスを感じていく様子がみられた。この予備調査は被験者らによる即興での会話を対象に実施したため、再現性がない。そのため会話のシナリオ作成や話者関係の制御(家族、知人、他人)といった実験環境を整備し事例を増やしながら、最終的に検証ができる環境を整えていく。 2つ目は幻視の可視化に必要な要件抽出を実施した。文献や聞き取りによる調査を進めたところ、現実的にかつ多様な内容の幻視を視ていることが明らかとなった。そのため幻視の可視化を実施していくにあたり、可視化表現する際における「リアルさ」の度合いや、可視化内容に対する分類が必要であることがわかった。 3つ目は幻視を可視化するツール制作のための準備である。ユーザとなる介護者の利用状況を踏まえてプロトタイプモデルを作成し、画面遷移やボタン配置などを検討した。さらに介護者の幻視知覚状態への理解度を高めるため、VR(バーチャルリアリティ)による表現方法も検討した。これらの制作は、幻視の可視化に必要な要件が抽出され次第促進させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
申請時に予定していた幻視知覚状態におけるアイマークレコーダによる視線計測などが、予算的に実施できなくなり、研究計画を修正したため開始が遅くなってしまった。 またレビー小体型認知症患者が視る幻視の内容は文献等にも項目は掲載されているが、そのリアルさについては個人差があることが調査の途中でわかった。そのため、種類だけでなくリアルさの程度も調査項目として追加する必要があると判断したため、再調査を実施することにした。 そのため、コンテンツが確定できていないため、ツール開発は中断している。
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今後の研究の推進方策 |
幻視の可視化に必要な要件抽出および幻視を可視化するツール制作については、調査及び制作に協力してもらえる支援者を得ることができた。そのためそれらを速やかに実施し、予定通り最終的な検証を実施できるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究方法の見直しが生じ調査方法を修正したため、研究開始のタイミングが遅くなってしまった。そのため本年度は実験器材を購入して予備調査を実施するまでで終わってしまい、協力者への支援を受けたり、成果を出すまでに至ることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究協力者の支援を得ることができる体制を整えることができたため、調査及び制作を進め、目的とする成果を出せるよう推進させる。
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