研究課題/領域番号 |
16K12526
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
新岡 宏彦 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (70552074)
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研究分担者 |
田川 聖一 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (60592764)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 深層学習 / 人工知能 / 画像解析 / 再生医療 / 細胞分化 |
研究実績の概要 |
培養細胞の分化や、分化後の細胞の成熟度を蛍光分子等使わず非侵襲に判断することの出来る技術の構築を目指し、細胞の位相差画像と深層学習を用いて非侵襲細胞分化判定システムを構築した。細胞試料としてC2C12細胞(マウス筋芽細胞)を用いた。C2C12細胞の分化誘導を開始した日をDay0とし、Day0から3日目、6日目をそれぞれDay3、Day6とした。C2C12細胞はDay0では丸みを帯びた形状をしているが、分化が進むにつれて繊維状の長く伸びた形状になる。CNNにDay0、Day3、Day6の画像(各5700枚)を学習させ、Day0、Day3、Day6までのテストデータ(各300枚)を識別させたところ平均83.8%の正答率であった。Day0の識別率は非常に高く、98.4%であった。Day 0, Day 3, Day 6の比較的大きい細胞画像(4080x3072pixel)を用いて、画像内の各領域(200x200 pixel)の細胞をCNN(Concolutional Neural Network)により識別し、Day 0と認識すれば青色、Dya 3あるいはDay 6と認識すればそれぞれ緑色、赤色というように色分けした。分化度の違いを色で視覚的に表現できたと言える。さらに、生体組織由来のラマンスペクトルデータ解析をDNN(Deep Neural Network)により行い分類を行ったところ、それぞれの組織に由来するラマンスペクトルデータをおよそ90%程度の精度で分類することに成功した。一方で、上記と同様のCNNを病理画像解析へ応用したところ、がん細胞と正常組織だけでなく、がん細胞の周辺組織までも分類することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、深層学習を用いることで、細胞の分化を位相差画像だけから判別することが可能となった。また、培養開始0日目、3日目、6日目のC2C12細胞を画像から分類できたため、分化の度合いを判別することができたと言える。また、生体組織のラマンスペクトルデータから、組織の種類を判別可能であることを確認した。病理画像中のがん細胞の判別をしたところ、ほぼ100%の精度で判別可能であった。このとき、正常細胞とがん細胞だけでなく、がん細胞周辺の細胞も分類することに成功したため、予想を上回る結果が得られたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは、実験のしやすさからC2C12細胞(マウス筋芽細胞)を用いて分化の判別を行っていたが、今後はiPS細胞を用いる予定であり、すでに実験を始めている。ラマン顕微鏡を用いた測定では、ラマン散乱光が微弱であるために計測時間が長いという問題があるが、今後、非線形ラマン散乱光計測を導入する。非線形ラマン散乱光は通常のラマン散乱よりも強く、計測時間の短縮が見込まれ、短時間で多くの画像が取得できるようになる。人工知能は、画像など学習用のデータが多い方が正答率が上昇するため、画像取得効率の上昇により判別の精度を上昇させる。また、細胞の動画解析を行うためにタイムラプス顕微鏡による位相差観察及び蛍光観察を行い、動画データを収集する。これにより、細胞の動きの情報も利用した細胞種及び状態の判別を行う。
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