当該年度の研究実施計画は,前年度と同様に,構築したシステムを用いて、より多くの体幹の計測を行い、システムの有用性を検証すること、および、得られた結果の臨床の面からの評価である。 システム構築に関しては,昨年度構築したシステムを改修し,大型液晶モニターと2台の小型深度センサーを利用し,システムの小型化と広範囲から体幹の計測を可能とし,計測精度の向上を図ったものを構築した.その結果,上面から見た場合,体幹の約220度の範囲をカバーすることが可能となり,より精度よく体幹を近似することが可能となった.最終的には,液晶モニターの前において,計測及び評価を行うシステムにする予定であり,画面に被験者の映像と側湾の結果を合成することで,側弯症の視覚化を行う予定である. データ取得に関して,本年度も昨年度と同様に,側弯症患者のデータ数の確保が難しく統計的な傾向を述べるには、十分ではないと思われる。しかし,昨年度意見を頂いた北海道大学医学部及び医療機関との連携が可能となった.そのため,今後は,多数の側弯症患者のデータの取得が可能となったため,研究の進度が上がることが予測される. 最後に、同時に、側弯症の患者の脊椎及び肋骨の力学的解析を引き続き行った。昨年度,解析結果を、北海道大学の整形外科学講座の須藤教授から、意見を伺い、より正確な応力の大きさを検証する必要があることが求められ,有限要素法の改修を行い,3次元モデルをより細かくメッシュを切ることにより解析を再度行った.結果として,昨年と同様の結果となったが,被験者数が少ないため,今後,被験者を増やすことで,より,妥当性を増す必要がある. 研究期間中には,学会発表までには至らなかったが,システム構築の完成,評価手段の妥当性がある程度確認できたので,今後,被験者を増やすことで,学会発表や論文投稿を行う予定である.
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