研究課題/領域番号 |
16K12533
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
古崎 晃司 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (00362624)
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研究分担者 |
川村 隆浩 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 客員准教授 (10426653)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | オープンデータ / 広報情報 / ソーシャル情報 / 地域課題 |
研究実績の概要 |
地域課題の解決は市民生活の直結する重要な課題であるにも関わらず,その多様性のため実態を把握することは極めて難しい.本研究ではその問題を解決すべく,地域課題に関わる行政情報を発信している自治体の「広報情報」,地域の基本的な特性が現れる各種の「オープンデータ」,市民の声が現れる「ソーシャル情報」の3種の異なる情報を融合させることにより,地域課題を横断的に分析できる情報基盤を開発することを目的としている. 今年度は,以下の項目について実施した. (1)「広報情報」について,自治体がホームページで公開している「新着情報」を自動的に収集し,データ分析用のメタデータ(更新日,情報の分類など)を付与した上で,データベースに格納するシステムを開発し,運用を開始した. (2)収集した「広報情報」を,オープンデータから収集した社会課題に関するキーワードとマッピングした上で,Web技術として標準化されているクエリ言語SPARQLを用いた解析が可能なRDFデータベースに格納し,基本的な解析を行うシステムを試作した. (3)「ソーシャルメディア」の情報の収集については,広報情報とオープンデータ収集のテストケースとして用いている大阪市に関連するデータをTwitterから収集した.また,セマンティックWeb技術とクラウドソーシングに基づいて社会課題に関するLinked Open Data(LOD)を構築する手法を用いたデータ収集と社会課題LODの試作を行った. これらの技術を組み合わせることで,地域課題を様々な観点から横断的に分析する基盤を開発することができると考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題に基盤技術となる,「広報情報の自動収集」,「オープンデータの利用」,および「ソーシャル情報の収集」の個々の手法については開発が予定通りに進んでおり,データの収集が開始されている. また,収集したデータを分析する技術についても,基本的なデータベースの構築と分析ツールの試作までは完了している. しかし,データ収集対象とする自治体の数の拡充については,当初計画の「全国の6割」には至っておらず,今後の計画を若干,見直す必要があると思われる.この点については,情報源となる全国の自治体の公式ウェブサイトの一覧は既に取得できていることから,収集に必要な設定情報を自動取得する手法を検討することで,改善できると考えている. 一方,地域課題オントロジーの構築については,その元となる情報を,クラウドソーシングを用いた地域課題LODの構築手法を用いて試作できることが確認され,来年度の計画が加速することが見込まれる. これらの点を総合的に加味して,データ収集対象の拡充に遅れがあるものの,技術的な開発全体としては,地域課題LODの構築など,当初計画以上に進展した項目もあることから,全体としては,おおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
広報情報の収集対象の拡大については,当初計画よりも少し遅れているが,データ収集に必要な情報の半自動取得技術を開発することにより,効率化を計画している.
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次年度使用額が生じた理由 |
システム開発に際し,データ収集・公開用のコンピュータの購入を計画していたが,既に保有しているコンピュータを利用することで,購入の費用を抑えることが出来たため.
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次年度使用額の使用計画 |
前年度,物品費を抑えることが出来た分,やや進捗が遅れているデータ収集に必要な費用に充てることを計画している.
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