研究課題/領域番号 |
16K12534
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
牛尼 剛聡 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (50315157)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | SNS / ソーシャル・キャピタル / 地域社会 |
研究実績の概要 |
近年,TwtitterやFacebookに代表されるソーシャル・ネットワーキング・サービスが爆発的に普及した.SNSが果たす機能の一つに「人間関係の維持発展」がある.しかし,既存のSNSは主に明示的で静的な人間関係のみを取り扱っており,現実空間で知らず知らずのうちに形成される暗黙的で動的な関係における人間関係は扱われていない.本研究では,地域社会の人々が互いに暗黙的関係を認識できることが,地域社会における安心・安全の構築に重要であると考え,地域社会におけるソーシャルキャピタルの醸成を支援するソーシャル・ネットワーキング・サービスに関する基盤的な技術を開発し,実験により評価することを本研究の目的とする. 平成28年度の研究成果は以下のとおりである.(1)地域社会におけるソーシャル・キャピタルという観点から,見知らぬ人同士の暗黙的な関係の分析に基づき,地域社会における安心・安全を維持するための見知らぬ人同士の関係を維持するためのSNSの基本的なフレームワークを開発した.(2)人々が対象を捉える観点の類似性に基づいて,嗜好が類似した人同士でコミュニティを構成することを支援する手法について基礎的な検討を行った.(3)実空間における円滑な対面コミュニケーションの支援を目的として,対話のコンテキストに基づいた個人コンテンツの提示手法に関する基礎的な検討を行った.(4)地域社会における見知らぬ人同士の協働を支援するためのシリアスゲームに関する基礎的な検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)地域社会における安心・安全を維持するための見知らぬ人同士の関係を維持するためのSNSの基本的なフレームワークとして,地域におけるボランティア活動を例題として,「貢献者」と「受益者」との間に発生する暗黙的な関係性を意識することができるシステムを設計することができた.このシステムでは,貢献者がシステムに対して貢献活動を登録し,受益者が利用するスマートフォンの位置情報を利用してその活動に対する受益者に対して,貢献活動に関する情報を提供するというフレームワークに基づいて,見知らぬ人同士の暗黙的利益関係に基づいた交流を実現する. (2)人々が対象を捉える観点の類似性に基づいて,嗜好が類似した人同士でコミュニティを構成することを支援する手法については,オンラインレビューに対する観点の類似性に基づいて,ユーザの観点の類似性を推定する手法を開発することができた.この手法では,オンラインレビューに対する自然言語処理により,ユーザの評価観点を抽出し,それに基づいてユーザ間の相性を推定することができる. (3)実空間における円滑な対面コミュニケーションの支援のために,ユーザの対話コンテキストに基づいて,ユーザが有するプライベートコンテンツのランキングを行う手法を開発することができた. (4)地域社会における見知らぬ人同士の協働を支援するためのシリアスゲームとして,見知らぬユーザ同士が共同して行うマインスイーパーを設計することができた.
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今後の研究の推進方策 |
1)地域社会における見知らぬ人同士の暗黙的な利益関係を推定する手法を開発する.また,その関係に基づいて,それらの関係性をユーザに提示するための可視化手法を開発する. (2)SNS上に投稿されたレビューに基づいて,見知らぬ他者の信頼関係を推定する手法を開発する. (3)ユーザが有するプライベートコンテンツのランキング手法に関するプロトタイプシステムを開発し,実験により有効性を評価する. (4)設計したシリアスゲームのプロトタイプシステムを開発し,実験により有効性を評価する.
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