高逆道路で日常的に発生する自然渋滞とその解消を実用的に予測できる数理モデル(迫従挙動モデル)を、計測結果に基づいて作成することが本課題の目的である。従って、計測結果が非常に重要となる。このため、これまでは交通流を動画撮影し、これを画像解析することでデータを得てきた。しかしながら、ある程度広い範囲を撮影する必要性から、近年の高精細カメラを用いても、距離に対する解像度を高くすることが困難であった。そこで、当該年度においては、近年注目されている「RTK-GPS」を4台のレンタカーに搭載し、車両相互間の関係を高精度に計測した。特にRTK-GPSの場合、条件が整えば1cm精度での計測が可能とされているため、研究代表者勤務校に基準局も設置した。なお、我々が使用したRTK-GPSのサンプリング周波数は5Hzであり、動画に比べると時間分解能が1/6程度となる。しかしながら、この時間内の変化量は100kmで走行していたとしても車両1台分程度のため、問題無いと判断している。 RTK-GPSによる計測の結果は、これまでの画像解析により得られた結果と定性的には同じであり、定量的にもかなり近いものとなった。従って、この2種類の計測方法による結果は、互いが互いを保証することとなっている。また、新たに計測された結果を基にした追従挙動モデルも作成し、数値シミュレーションも行った。ただし、今回のRTK-GPSによる計測から、走行時と、停車・発進時の遅れ時間に差があり、後者の遅れ時間が前者の3倍程度となることに確証が持てたことから、これを組み入れたモデル化を行っている。そして、これにより実現象のシミュレーションに近づいたと判断している。 なお、本研究では無次元化により一般性と拡張性を担保しているが、基準長さに車間距離を採用することに問題の有ることも分かったため、現在、再検討している。
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