研究実績の概要 |
個人情報保護のなかでプライバシー保護は重要であると言われており,利用履歴を匿名化したとしてもその個人特有の利用履歴がある場合には本人の特定がしやすいと一般的に言われている.この本 人特定リスクは利用履歴や乗降履歴の長さが長くなるにつれ,高くなるということが知られている. 本研究では大規模な移動履歴である「人の流れプロジェクト」の移動履歴から乗降履歴を生成し,実際の利用傾向による履歴の分布について考察を行った上で,履歴長と本人特定性の関係についての検討を行 い,移動履歴の 80%以上が二点間の往復移動であること,また二点間の移動を除くほぼすべての履歴が一意であることを示す.その上で午前と午後に分けた履歴を生成し,そのような履歴のもとでは一日単 位と比較して,一意である利用履歴の数が増加することを示す. また,今後の特性を評価するための,匿名性とは何かについての評価関数についての研究を行った.匿名加工に関する評価関数をつくるために,匿名加工中と加工後の評価の評価関数の考え方について説明し,匿名加工中の枝選択における評価関数設計の考え方を検討した.同時に,匿名加工後の元データとの対照による評価関数の設計についてもあわせて検討した.この中で,クロス集計を前提にした分析軸を設定すると有用性と安全性は極めて相反する課題であることがわかった.
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