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2016 年度 実施状況報告書

誤報記事と新聞批判のメディア史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K12549
研究機関京都大学

研究代表者

佐藤 卓己  京都大学, 教育学研究科, 教授 (80211944)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードメディア史 / 新聞誤報 / ジャーナリズム / あいまい情報 / デマ / 流言蜚語
研究実績の概要

本研究「誤報記事と新聞批判のメディア史的研究」は、2014年に我が国で発生した「歴史的」誤報事件とその社会的反響を受けて、「誤報」現象をメディア史的に解明し、実効性のある対応策の提言を含めて研究すべく計画した。そのため、『考える人』(新潮社)連載の「メディア流言の時代」で扱う時期を拡大して単行本化を準備してきた。この研究企画段階では予想もしなかったことだが、2016年にはイギリスのEU離脱(ブリグジット)の国民投票やアメリカ大統領選挙でのトランプ当選など、「メディア流言」にスポットが当たる世界史的事件が続発し、「ポスト・トゥルース」が流行語となっている。その意味で、本研究の社会的意義はますます高まったと言えるだろう。また、メディアと「あいまい情報」の関係で新聞社などの求めに応じて講演を行い、論考を執筆してきた。講演では朝日新聞社「あすへの報道審議会」(2016年7月27日)における選挙報道報告や、日本世論調査会総会(2017年2月10日)での基調報告「民意といかに向き合うか」、さらに歴史的な分析として日本思想史学会大会シンポジウム(2016年10月29日)で「〝メディア人間〟の集合的無意識に挑む雑誌研究」を行った。論文としては「『報道の自由度ランキング』への違和感」『アステイオン』vol.085(2016年11月)や「新聞は世論調査政治に棹ささずに『ふつうの人びと』に真摯に向き合え」『Journalism』no. 319(2016年12月)、「キュレーション『メディア』とポスト真実『情報』の課題」『宣伝会議』(2017年3月号)などを執筆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新聞誤報の研究に必要な定期刊行物やビラなどの史料のコピーなどは順調に行っている。そのため、国立国会図書館や東京大学附属図書館、同情報学環図書室などを利用した。一方で、近代日本における新聞誤報の体系的な研究を行うためにデータベースの構築も目指していたが、この作業の前提には「誤報」概念の再検討が必要である。

今後の研究の推進方策

第二年度においては、特に誤報に続いて発生するメディアへのバッシングを中心に研究を拡大することを考えている。「誤報」問題とは、より広義には流言やデマなどを含む「あいまい情報」問題というべきであり、平成25~27年度の挑戦的萌芽研究(代表者・佐藤卓己)「近代日本における流言効果のメディア史的研究」の成果を踏まえて、研究成果として『誤報批判のメディア史』(仮題)の刊行を目指したい。

次年度使用額が生じた理由

購入を予定していた資料集のいくつかの刊行が遅れたこと、および予定していた資料収集のための東京出張がスケジュールの都合で延期したことによる。

次年度使用額の使用計画

次年度は東京での資料収集を積極的におこないたいので、その旅費などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (6件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] キュレーション「メディア」とポスト真実「情報」の課題2017

    • 著者名/発表者名
      佐藤卓己
    • 雑誌名

      宣伝会議

      巻: 2017年3月号 ページ: 104-105

  • [雑誌論文] 「アベ政治に反対」と野党が叫ぶほど、安倍首相が指導力しているイメージは強化されるという〝逆説〟2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤卓己
    • 雑誌名

      現代ビジネス(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49086 )

      巻: 2016年7月6日 ページ: 1-8

  • [雑誌論文] 「反対」では勝てないイメージ選挙2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤卓己
    • 雑誌名

      ポリタス(http://politas.jp/features/10/article/555)

      巻: 2016年7月26日 ページ: 1-4

  • [雑誌論文] 「報道の自由度ランキング」への違和感2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤卓己
    • 雑誌名

      アステイオン

      巻: vol. 085 ページ: 162-177

  • [雑誌論文] 新聞は世論調査政治に棹ささずに「ふつうの人びと」に真摯に向き合え2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤卓己
    • 雑誌名

      Journalism(朝日新聞社)

      巻: no. 319 ページ: 44-49

  • [雑誌論文] 輿論と世論 あるいは民主主義のつくりかた2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤卓己
    • 雑誌名

      日本再生

      巻: 444号 ページ: 12-14

  • [学会発表] 民意といかに向き合うか2017

    • 著者名/発表者名
      佐藤卓己
    • 学会等名
      日本世論調査会2016年度記念総会
    • 発表場所
      共同通信社14F大会議室(東京都港区)
    • 年月日
      2017-02-10
    • 招待講演
  • [学会発表] 〝メディア人間〟の集合的無意識に挑む雑誌研究2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤卓己
    • 学会等名
      日本思想史学会大会シンポジウム
    • 発表場所
      関西大学第1学舎1号館(大阪府吹田市)
    • 年月日
      2016-10-29
    • 招待講演
  • [図書] 青年の主張―まなざしのメディア史2017

    • 著者名/発表者名
      佐藤卓己
    • 総ページ数
      433
    • 出版者
      河出書房新社
  • [図書] The Dismantling of Japan’s Empire in East Asia: Deimperialization, Postwar Legitimation and Imperial Afterlife. (SATO Takumi, "Ch.13 The “pacifist” magazine Sekai: a barometer of postwar thought.")2017

    • 著者名/発表者名
      Barak Kushner, Sherzod Muminov ed., Kato Kiyofumi, Kawashima Shin, Barak Kushner, Araragi Shinzo, Sandra Wilson, Sarah Kovner, Franziska Seraphim, Sherzod Muminov, Matthias Zachmann, Kanda Yutaka, Jung Jin, Erik Esselstrom, Sato Takumi, Shirato Kenichiro, Michael Baskett, Kerstin Von Lingen
    • 総ページ数
      334 (239-258)
    • 出版者
      Routledge
  • [図書] 京都のDNA―京都広告協会創立60周年記念誌(佐藤卓己「『広告の公共性』から考える」)2017

    • 著者名/発表者名
      京都広告協会創立60周年記念事業実行委員会編、玉岡かおる・ジェフ=バーグランド・千宗室・佐藤卓己他分担執筆
    • 総ページ数
      95(50-51)
    • 出版者
      京都広告協会
  • [図書] 岩波講座 現代 第8巻:学習する社会の明日(佐藤卓己「総説 教育の実験をしてよいか」)2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤卓己編、広田照幸・藤本夕衣・竹内里欧・井上義和・市川真人・波戸岡景太・内藤朝雄・阿部潔・藤原辰史分担執筆
    • 総ページ数
      256(1-20)
    • 出版者
      岩波書店
  • [図書] 岩波講座 現代 第9巻:デジタル情報社会の未来(佐藤卓己「総説 デジタル情報社会をバックミラーで見る」)2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤卓己編、佐藤俊樹・柴内康文・荻上チキ・川口茂雄・渡辺靖・山田奨治・池田純一・和田伸一郎・平田知久・浅野智彦分担執筆
    • 総ページ数
      282(1-16)
    • 出版者
      岩波書店

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公開日: 2018-01-16  

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