研究課題/領域番号 |
16K12552
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
辰己 丈夫 放送大学, 教養学部, 教授 (70257195)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 発達障害 / 自閉症スペクトラム / 情報倫理 / 情報リテラシ / 情報教育 |
研究実績の概要 |
研究の2年目である平成29年度は、平成28年度に実施に至らなかった、調査対象との交渉を行った。しかし、当研究は、特別支援学級や特別支援学校に在学していない、発達障害傾向がある学習者を対象としているため、調査を受諾する学校はなく、研究活動は、困難となった。依頼は、メールや、別の研究のときに会場で担当者に行ったりしていたため、平成29年度に必要となった旅費は、都内1往復のみである。 一方で、「学校における情報機器の活用によって、学習がスムーズに行われる」点は、「発達障害」とは無関係に成立する。私は、この点については、本研究費は使用せずに、小関啓子氏(私が指導担当となった大学院学生で、平成30年3月に修了。)の修士研究において、この内容で共同研究を行った。小関氏も、当初は「軽度発達障害」の高校生を対象に研究をスタートさせているが、小関氏の研究は「ICT機器活用」であり、私が申請した「情報倫理との関連」ではないものの、私の研究と同様の「実施上の問題点(協力校を得にくい)」があった。この研究では、以下のことが判明している。 「現在、多くの高校で授業中の利用が認められていないスマートホンなどの携帯型情報端末を、授業中に利用することができるようになれば、わからない文字を調べたり、歴史的な資料を調べるという学習内容における活用だけでなく、クラスメートの写真を撮影して顔を覚える、宿題をスケジューラーに登録する(アスペルガー)、板書を撮影して文字を書き出す(ディスレクシア)、きれいな文字で講義ノートを取る(ディスレクシア)など、様々な支援が可能となり、多くの生徒らが、この恩恵を受けることができる。」このようにみると、私が当初から考えていた「発達障害と情報倫理・情報セキュリティ」との関連は、小関氏との共同研究と手法は同様にできる。 アンケート調査項目についての精査は、小関氏と進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査内容が「自閉症スペクトラム」に関連することから、調査対象となる学生・生徒らの協力を得ることが困難であった。しかし、このようにセンシティブな情報を取り扱う研究であるからこそ、組織的な合意を前提に研究をすすめる必要があると研究代表者(私)は考えている。
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今後の研究の推進方策 |
事実上の「研究協力者」である小関氏が、平成30年度に、2つの学校における調査について、相手先学校との協力を得られそうであるという状況になった。そこで、この2校を対象に、調査を行い、研究をすすめる予定である。また、途中経過を、夏の情報処理学会の情報教育シンポジウムで発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実証研究の調査学校との交渉は、メールや、他の会議で担当者とあったときにおこなったため。そして、許諾が得られず、調査ができなかったため。
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