研究課題/領域番号 |
16K12559
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
井上 創造 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90346825)
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研究分担者 |
馬場 雪乃 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40711453)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | eラーニング / eテスト / クラウドソーシング |
研究実績の概要 |
本研究では,eテストのためのクラウドソーシング技術を研究する.テスト問題を不特定多数の人に作ってもらいながら,その品質や回答への評点を機械学習および自然言語処理により適切に推定し,問題の受講者への割当を適切に管理するeテストおよびそのシステムを実用に近いレベルで実現し現実的な実証をすることによって,質とバラエティの両方を保証した問題を大量に確保し,eラーニングの威力をこれまで以上に高めることを目的とする. 本年度は予定通りプロトタイプシステム開発に重点を置いた.主要アルゴリズム部分では統計ソフトRを使い,短期間で高機能なWebサービスを構築できるRuby on Railsフレームワークに加えて,まだ日本での利用者は少ないが高頻度のシステム改変に即座に対応できるHoboというライブラリ群を用いることにより, 数日から一週間単位でのシステムの更新ができるようにした. 開発内容については,ユーザに作問機能と回答機能を用意した.作問は選択回答式,記述式といった複数の回答手段を選べるようにするが,正解と不正解の基準も作問者が設定し,回答時には自動的に正解か不正解が判定されるようにした.次に回答は,別のユーザが作成した問題に対して受講者が通常のeテストシステム同様回答できるようにしたが,その際に問題の割当は,問題の妥当性や評点といった隠れ変数を最も効率よく推定できる順序で割当をするようにした. また,自然言語処理技術の適用による上記推定技術の向上も準備を進める.問題文や回答文に対して形態素解析および潜在意味分析を行い,問題のクラスタリングや逆に受講者のクラスタリングを行うことで,問題や回答単位ではなく,出題の分野や受講者本人の達成度といった,よりマクロな視点でeテストの品質を管理できるようになるための基礎研究を行った..
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画にあったプロトタイプシステムの作成および実証実験については予定通り開発が一定のレベルに達し,また実証実験によりデータも多く溜まってきているため,順調に進んでいる.この点については計画通りである.
一方で,クラウドソーシングの観点から見たときの理論研究は,プロトタイプ実装は出来ているものの,確率モデルとしての表記が出来ておらず,まだ論文としての成果は少ないため,「やや遅れている」とした. ただし,そのベースとなる自然言語処理技術を用いて機械学習を行うアプローチは並行して進めており,この点については次年度以降成果が期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は,予定通りリアルタイム性やロールプレイのようなプロトタイプシステムの改善に努めながら,評価と改良を行う.
eテストは広い見方をすれば,eラーニング,更には人の行動変容のための一つのツールである.大学生だけではなく,子供から大人,高齢者のリハビリと言った行動変容へのこの技術の適用を検討していく.
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