研究課題/領域番号 |
16K12567
|
研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
倉本 充子 広島国際大学, 薬学部, 教授 (20352031)
|
研究分担者 |
越智 徹 大阪工業大学, 公私立大学の部局等, 講師 (10352048)
倉橋 農 大阪大学, サイバーメディアセンター, 助教 (70769447)
今井 正文 豊橋創造大学, 経営学部, 教授 (90300219)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 英語環境 / 英語絵本 / 自作絵本 / タブレット / Webアプリ |
研究実績の概要 |
文部科学省が平成23年「国際共通語としての英語力向上のための5つの提言と具体的方策」に基づき、各地の学校教育現場で英語教育のためのICT活用が活発化していることを受け、幼児・児童が家庭において日常的に英語に接触できる機会を増やしていこうと考えた。そこで、当年度は、乳児から児童および高齢者を対象とする日常的な運用力養成への自然な流れを導き出すことを可能とするインターフェースについての試作から開始した。 グローバル人材を求められる21世紀においては、日常生活レベルでの自然な流れの中で、外国語としての英語に慣れ親しむ習慣が必須となる。このような習慣づけのため、座ってタブレット端末に触れる操作が可能になる乳児から低学年児童を対象とし、同時にこの対象年齢者が孫年齢に当たる高齢者との集いの場や家庭も想定して、対話の中に自然に英語表現が流れる環境を目指している。子どもの発達に関する研究で、新生児の段階から眼前の図形の見分けや音声に対する選択的注意力を保持していることが示されており、乳児を対象に含んで、全対象者への心理的影響等も検証することも目指している。 このような英語環境を導くため、Web経由でのタブレット端末活用によるコンテンツ、児童作話・作画によるストーリーのデジタル絵本化とWeb上で簡易なストーリーが作成できる作画画面のプロトタイプを作成した。これらの工程と現段階での結果について、情報処理学会コンピュータと教育研究会において「子どもを対象としたタブレット端末によるインタラクティブ英語ストーリーシステムの試作」と題し、論文での報告をした(情報処理学会研究報告 Vol.2017-CE138, No. 7, pp.1-5)。なお、本研究において協力した学生が当学会の学生奨励賞を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に従い、幼児・児童が家庭においての日常的な英語への接触の機会を増やし,運用力養成への自然な流れを導き出すことを可能とする幼児・児童向けのインターフェースについての試作から開始した。幼児・児童による絵本をHTML5をサポートしたWebブラウザが稼働するクライアントを対象とし、Web経由で実行するWebアプリケーションとして組み込んだ。現段階でiOS,Androidそれぞれのネイティブアプリを作成する負荷が大きいこと,iOSでもAndroidでも動作する,といった汎用性を考慮し,Webアプリでプロトタイプを作成している.実験をスムーズに進めるため,協力者(幼児・児童)が日頃からWebブラウザやゲームアプリを差し支えなく利用している,iPadをプロトタイプ開発のターゲットとして採用した.使用するWebブラウザについては,iPadに標準Webブラウザとして搭載されているSafariを採用した. 英文ストーリーと挿絵作成は幼児・児童自身が自由に行い、英文および英語発話については研究者が行った。児童が作成した1話をまずデジタル絵本化し、さらにWEB上で簡易な絵本が作成できる作画画面も試作した。第1回目の試作版を協力者ら自身に3時間試用してもらい、全工程をビデオ録画した。事前に利用中に自由に意見・感想,改善希望点などを述べるように指示し,利用後にもインタビューを行った。 協力者らの意見などに従い、バージョン2のデジタル絵本と作画画面も同様に協力者らに3時間試用してもらい、意見・感想・インタビュー内容に従い、さらなる改善・改良を行った。これらの工程と現段階での結果について、情報処理学会研究会において「子どもを対象としたタブレット端末によるインタラクティブ英語ストーリーシステムの試作」と題し発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
デジタル絵本化の閲覧画面では、オリジナル作品のWebへの書き込み、アニメーション付加、音声、日英文章切り替えなどについて、児童らの意見を取り入れ、当初の予定通りプロトタイプとしては一段落しているが、児童が作成済みのストーリーを閲覧画面に追加していく予定である。初年度に実現化していない多言語化については新年度の取り組みとなる。当初の計画で明確な取り組みとしていなかった作成画面については、児童の製作意欲が高まるような機能、例えば選択できるキャラクタや吹き出しのセリフを追加するなど、を充実させ、本システムを使う時間を増やすよう導くことで、生活の流れの中で英語に自然に触れるような工夫をする。また、幼児から高齢者までを含む協力者による試用とインタビュー調査についても新年度に取り組み、より親しみを持てるインターフェースの開発を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度実施できなかった視線追跡のための機器購入と遠方の協力者を対象とする出張を伴う調査費用に充てるため、持越しをした。
|
次年度使用額の使用計画 |
新年度に予定する視線追跡測定器の購入および出張を伴う児童・高齢者対象の試用調査費、記録媒体の購入に使用予定である。
|