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2017 年度 実施状況報告書

暗黒海である海洋中・深層水中の微生物群集の増殖および代謝活性現場測定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K12576
研究機関筑波大学

研究代表者

内海 真生  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60323250)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード物質循環 / 海洋中・深層 / 微生物代謝
研究実績の概要

本研究は、申請者が開発した水深4,000 mまでの耐圧性を持つ採水機ROCS(Rotary Clean Seawater Sampler)の時系列採水機能を活用した海洋中・深層で使用可能な現場微生物培養装置を用い、暗黒海(dark sea)である海洋有光層下(水深200 m以深)水中の微生物(細菌)群集の増殖速度や増殖特性について直接現場培養から定量評価することを目的に行う。特に、海洋中・深層の持つ特徴である、低温、高圧下で使用可能なROCS培養装置の更なる改良、ならびに現場培養実験を平行して行うことで、暗黒海水中の細菌群集の増殖および代謝特性を明らかにする。
H29年度は、H28年度に引き続き、これまでに判明しているROCS現場培養装置の不具合点を解消するため、装置改良、特に電源供給部分の多源化を行った。具体的には、まず電源供給の安定化に関する改良を実施した。本年は1航海で複数回の測定実験を行う場合を想定し、再充電可能な小型リチウムイオン電池バッテリーと世界中で使用可能な充電装置を作成した。さらに、これまでの実験から判明していた、培養槽となる採水ボトル内の添加基質の不均質混合を解消するためのボトル内の攪拌に関する改良、採水筒への培養試料導入時に発生が懸念されたリーク防止に関する改良、等を行った。
培養装置の改良と並行して、H29年度もROCS現場培養装置を用いた海洋中・深層(水深10 - 4,000m)での現場培養実験をカリブ海および南大洋にて実施した。カリブ海航海時に添加した基質が培養ボトル内でうまく混合していない可能性が判明し、南大洋航海までの期間を利用して、基質の攪拌に関する検討と改良を行った。H29年度もH28年度で得られた予察的結果と同様に、同一水深海水試料を船上に引き上げて現場水温・大気圧下環境で実施した船上培養とは異なる増殖特性を示す予察的な結果を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

H29年度は、H28年度に引き続き、ROCS現場培養機を用いた調査船での現場培養実験を行った際に浮かび上がってきた問題点、改良点について整理し、必要な改良(培養槽内の基質の均質混合、採水ボトルを含めたリーク現象の解消、複数回再充電して使用可能、かつ航空機での運搬も可能な新型リチウムイオンバッテリーの新規作成)、を精力的に検討し具体的な装置改良や製作まで行うことができた。海洋中・深層というk低温・高圧の極限環境での装置の安定作動を実現するには調査航海毎に様々な問題点が浮上し、その対策と解決案の実施に時間がかかることになるが、本年度も具体的な問題に関して対応を行えたことは、今後の研究推進に大きな進展をもたらすものであると認識している。また、H28年度に引き続き、本年度の2回の調査航海で実施できた現場培養実験の結果からは、予察的ではあるがROCS現場培養機を使用した現場培養と船上ボトル培養では微生物増殖や代謝が異なる結果が得られてきており、微生物の本当の増殖や代謝活性を把握するには、現場培養の手法を間違いなく確立しなければならない、という認識を得るに至りつつある。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

H30年度は、研究最終年度にあたるため、これまでの調査航海で得られた現場培養実験を含む各種結果について整理し、学会等での公表を目指す。また、スケジュールが合えば、再度、調査航海で現場培養実験を実施したい。また、H29年度末に行った南大洋航海でROCS現場培養機の制御にこれまでに見られなかった制御不能が確認されたことから、その原因を調べ、対策を実施したい。最後に、3年間の調査航海で得られた世界の他の研究者が持ちえないオリジナルな結果を元に、海洋中・深層に生息する細菌群集の増殖および代謝特性を解明していきたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] ウィーン大学(オーストリア)

    • 国名
      オーストリア
    • 外国機関名
      ウィーン大学
  • [学会発表] Reduced prokaryotic heterotrophic production at in situ pressure conditions in the dark ocean2017

    • 著者名/発表者名
      Amano-Sato, Chie; Sintes, Eva; Reinthaler, Thomas; Utsumi, Motoo; Gerhard, J. Hernd
    • 学会等名
      European Geosciences Union (EGU) General Assembly
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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