研究課題
本研究では、超長光路吸収分光法であるキャビティリングダウン分光(CRDS)法を用いたオープンパスタイプの消散係数計測装置を新規に開発し、観測試験を実施することにより、開発した装置がエアロゾル粒子の吸湿成長・雲粒生成過程やフラックスのリアルタイム直接観測に適用可能であることを実証し、その有用性を示すことを目指している。CRDS法を用いたオープンパスタイプの消散係数計測装置の製作および性能評価を行った。オープンパスCRDS装置では、粒子のあり・なしで、光学キャビティから漏れ出したレーザー光の減衰時定数を測定することで、消散係数を決定する。そこで、粒子のない条件下でのバックグラウンド計測を定期的かつ自動的に実施することが可能となるように、筒状のカバーが移動する自動開閉システムを設計し、機械的な動作試験を実施した。しかしながら、筒状のカバーのひずみや動作時の軸の不安定性の影響が無視できず、結果として、スムーズな開閉が困難であると判断された。そのため、装置全体を覆う直方体のカバーの中央部分に窓を設置して、開閉を行うように設計を変更し、この改良型の装置の製作を実施している。この変更に伴い、光学キャビティを地面に対して垂直方向に設置することとした。この新たな構成で再度、レーザー光源および光学キャビティ、ピンホール、光学フィルター、光検出器の設置位置や光学調整を行い、消散係数の測定を行うことが可能であることを確認した。
3: やや遅れている
昨年度に引き続き、オープンパスタイプの消散係数計測装置の製作および性能評価を行った。昨年度設計したバックグラウンド計測用のシステムの動作試験を、今年度に実施したところ、スムーズな開閉が困難であることが判明した。そこで、オープンパスCRDS装置の設計を一部変更し、改良型の装置の製作を行ったことから、全体の計画にやや遅れが生じた。改良型の装置についても製作の途中段階で、光学設計および光学調整を実施し、エアロゾル消散係数が測定可能であることが確認できている。
前年度に引き続き、オープンパスCRDS装置の製作および動作・性能評価試験を行う。また、実大気観測試験により、高湿度環境下でのエアロゾルの吸湿成長過程の観測などへの応用が可能であるかを評価する。
装置開発において、技術的な問題が生じたことにより設計を変更したため、消耗品購入や観測試験のための経費の一部を次年度に使用する必要性が生じた。次年度に、オープンパスCRDS装置の性能評価に必要な消耗品や観測試験のための経費として使用する予定である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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