本研究では、超長光路吸収分光法であるキャビティリングダウン分光(CRDS)法を用いたオープンパスタイプの消散係数計測装置を新規に開発し、観測試験を実施することにより、開発した装置がエアロゾル粒子の吸湿成長・雲粒生成過程などのリアルタイム直接観測に適用可能であることを実証し、その有用性を示すことを目指した。 CRDS法を用いたオープンパスタイプの消散係数計測装置の改造および性能評価を行った。オープンパスCRDS装置では、粒子のあり・なしで、光学キャビティから漏れ出したレーザー光の減衰時定数を測定することで、消散係数を決定する。粒子なしでの計測を実施するために、装置全体を覆う直方体のカバーの中央部分に窓を設置して、開閉を行うように設計を変更し、試験を行った。どの程度の時間間隔で開閉を行う必要があるか調べるため、粒子なしでの計測を数日間に渡り、連続して行った。得られたリングダウン速度の時間変化にアランバリアンス分析を適用し、リングダウン速度の消散係数の計測精度におよぼす影響について調べた。また、小型PM2.5センサをオープンパスタイプの消散係数計測装置内部に設置し、消散係数との同時観測を行い、PM2.5重量濃度と消散係数の比較を行った。さらに、別途開発したセルを有するクローズドパスタイプの消散係数計測装置との同時観測試験を実施し、オープンパスタイプの計測装置による消散係数およびその湿度依存性の計測値の妥当性を評価した。
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