研究課題
本年度はまず、前年度より開発を行ったレーザー分光システムの性能評価を行った。具体的には、検出感度の安定性を調べるために、標準ガスを一定流量で光学セルにフローさせ、一酸化炭素濃度の測定値の標準偏差を評価した。同時に、アラン分散解析により、シグナル積算の最適化時間を見積もった。標準ガスとして、圧縮空気ボンベを利用した。圧縮空気ボンベには、京都市内の大気が充填されており、数百ppb程度の一酸化炭素が含まれていた。本年度はさらに、レーザー分光法による一酸化炭素測定センサーと、緩和渦集積法によるフラックス測定システムとを連結し、一つの測定システムとして稼働させた。実際の野外大気で試験的な観測を実施するために、大阪府立大学(大阪府堺市)にある研究棟の屋上にシステムを設置した。屋上であるため、太陽光による極端な温度上昇や雨風を避ける工夫を施した。三次元超音波風速計からのシグナルにより鉛直上向きと鉛直下向きの風成分を分離し、鉛直上向きの際の大気と、鉛直下向きの際の大気を、それぞれ別個のアルミバッグに採取し、レーザー分光システムを用いてアルミバッグ内の一酸化炭素を測定した。緩和渦集積法の測定システムが問題なく動作していることは、事前に、二酸化炭素の緩和渦集積フラックスと渦相関法フラックスとを比較することにより、系統的エラーが生じていないことにより確認した。試験測定時における大気試料の採取口は、超音波風速計のセンサーヘッドに干渉しないぎりぎりの位置に設置した。アルミバッグへの大気採取時間は、30分とした。すなわち、30分平均でのフラックスを導出することができるため、実効的に一日のフラックスデータを48点得ることに成功した。試験観測の結果、観測地における一酸化炭素フラックスにはユニークな時間的変動パターンが見出された。
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Atmospheric Environment
巻: 179 ページ: 156-165
10.1016/j.atmosenv.2018.02.015
http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/laeia/members/tkenshi/index.html