本研究では、北太平洋亜熱帯域の亜表層クロロフィル極大層(SCM)付近における亜硝酸塩極大の形成状況を把握するとともに、現場のプランクトン群集を用いた船上培養実験を行い、亜硝酸塩の蓄積に関わる窒素循環に及ぼす鉄の影響を明らかにすることを目的とした。 亜硝酸塩極大とSCMが近接していた測点では、鉄および光制限を受けていた植物プランクトンからの亜硝酸塩放出が、亜硝酸塩極大の主な形成要因となっていた可能性が示された。一方、亜硝酸塩極大とSCMが離れていた測点では、硝酸塩および亜硝酸塩の消費傾向が強く表れていたことから、植物プランクトンの窒素代謝への鉄制限の影響が弱いことが示唆された。
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